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世界の医療
ドイツ編
妊婦に優しい医療保険制度を支える ドイツのジェネリック医薬品
ドイツ・ベルリン在住 たかもと・みさこ
産後体操まで保険で支払ってくれる法定保険


▲産科の家族部屋にはシャワーもある。家族が来てもゆったり出来るスペースがあり、個室なので訪問も気軽にできる。

 ドイツの保険制度には、「法定保険」と「民間保険」がある。
 ドイツに住む市民のほぼ9割が加入しているのは前者の法定保険で、この保険システムが素晴らしい。

 まず、妊婦の診察や出産にかかる医療費はほぼ100%カバーされる。胎児の超音波検査、血液検査などの基本的な検査、またそれに対する処置(鉄分注射など)、さらにたくさんある予防接種も一銭も払わなくてもかまわない。

 出産に関しては、自然分娩はもちろんのこと、帝王切開のような高額処置、そしてそれに伴う長期入院費用も保険がすべて負担してくれる。

 もちろん規定されている以外のことは自費となるが、それも決して高くはない。
 例えば出産後、新生児と母親が、父親や兄弟とともに入院できる家族部屋の施設が整った産科病院がある。そこで支払うのは母親と赤ん坊以外の家族の料金のみ。1日3回の食費込みで1泊1万円以下だ。
 入院中から家族そろって、生まれたばかりの赤ん坊の世話ができるのは母親にとっても心強いだろう。
 ドイツでは帝王切開をした後も基本的に母親は赤ん坊と同室なので、筆者も出産の際には夫が家族部屋に宿泊してくれ、大変助かった。

 そのほか特筆すべきことは、ドイツの健康保険は予防に重点を置いている点である。
 予防措置のコストを健康保険で補うことで、加入者が健康を保ち、最終的に保険の負担を軽減するという考え方に基づいているのだ。
 そのため、産後体操など、後の健康につながるリハビリ費も健康保険(法定保険)によって支払われる。

 


▲安全な出産をサポートするために、保険会社も様々な援助をしてくれる。

▲家族部屋のランチ。いくつかのメニューから選ぶことができる。
2007年の法律改正でジェネリック医薬品が飛躍的に普及

 またドイツの法定保険では、私立保険に比べて薬剤負担のうちジェネリック医薬品が占める割合が高いといわれている。
 ジェネリック医薬品がこうした形で広く使われることにより、保険自体が負担する年間の金額は大きく削減されているわけだ。

 ここ数年ジェネリック医薬品は大きな動きを見せているが、その大きな原因は2007年に成立した「法的医療保険競争力強化法(GKV-WSG)」の中にある法定保険の医薬品供給に関する取り決めによる。
 2007年4月より薬剤師は、法定保険の加入者に対して薬を出す場合に、その加入者の健康保険会社と値引き契約を結んでいる製薬会社の製品を選ばなければならず、もし在庫がない場合は注文してでも取り寄せなければならない決まりになっている。もし入手不可能な場合は、同じ成分の医薬品のうち一番安い3社のものを調剤しなければならない。


▲Ratiopharm社はジェネリック医薬品の大手製造会社。

 こうした新しい保険制度に関する規定が、結果として製薬会社間の競争を強化し、ひいては保険会社との契約をめぐる競争力へとつながっている。
 ちなみに法定保険加入者が処方薬を購入する場合、18歳以上なら薬局での販売価格の10%を支払うことになっているが、特に安価な処方せん薬については、この自己負担が免除される。
 法定保険加入者は、薬剤師に聞けば、医師から処方された薬と同じ成分で、自己負担免除の製品(多くの場合ジェネリック医薬品)を教えてもらうことができる。医師に相談することも可能だ。

 このような新しいシステムによって、法定健康保険も、加入者も医療にかかわるコストの削減をすることができている。
 ジェネリック医薬品が広範囲に使用され、同時に先発医薬品のほうも追加料金のかからない製品を安価に販売できるなど、結果として先発医薬品の競争力も強化することになっている。
 つまり保険会社の負担が軽くなるだけではなく、市民の医療費負担も軽減するのがドイツ新保険改革の目的なのだ。

ネット販売で広がる、安価な薬の買い方

 市民の医療費負担軽減といえば、ジェネリック医薬品と同様に活用されているものがある。それは医薬品のネット販売だ。
 ドイツ国内では2003年から医薬品ネット販売が承認されている。
 顧客は店頭販売よりも安く医薬品を多種にわたって入手できるようになり、こうした動きも、製造者側の競争意識を高めている。

 初期の頃、どのネット通販薬局が、ドイツ国内正規の販売許可を得ているのか一般消費者にはわからなかった。その後、オンライン通販の許可を持つ薬局の登録リストが作成されたので、現在では安心して医薬品のネット販売を楽しめるようになっている。

 ネット販売では、処方せんが必要な医薬品の購入も可能だ。
 注文票と医者にもらった処方せんを一緒に郵送すれば、たいていの場合、郵送代は無料で、すぐに薬が送られてくる。処方せんはコピーではなくオリジナルでなければいけないため、本当の意味でのオンラインショッピングは不可能。

 また、ネット販売は薬局で買うよりも数日かかってしまうが、安さには換えられないといったところだろう。
 購入サイトによっては、メールやチャットで、薬剤師のアドバイスを受けられるところもあり、顔が見えないだけに不安になりがちなネット販売だが、医薬品購入がしやすいようにとの心配りも見られる。


▲ドイツの薬局は近代的だ。薬剤師にアドバイスを受けられる分、販売価格は高め。

▲ネット販売をする薬局からの小包。薬だけではなく、オーガニック化粧品などを安く扱っているのも魅力。
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