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睡眠・休息・メンタルケア

うつ病 心だけでなく体の症状にも注意

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うつ病 心だけでなく体の症状にも注意

厚生労働省の『患者調査』によると「うつ病」の推計患者数(ある1日における通院・入院者)は、平成11年33.5千人→平成29年82.5千人と増加しています。
「心の風邪」とも言われ、誰にでもかかる可能性のある「うつ病」は、症状が重くなる前に早めに治療を始めるのが大切です。
「うつ病」の症状や予防法、治療法について、若松町こころとひふのクリニックPCIT研修センター長の加茂登志子先生に伺いました。

症状

自律神経や感情、睡眠、食欲などに影響

私たちの思考、感情、睡眠、食欲などのリズムを整える中枢神経の働きは、脳の神経細胞のネットワークに左右されます。そのネットワークをスムーズに働かせるのが、セロトニン、ノルアドレナリンといった神経伝達物質。
「うつ病」は、ひとことで言えば、これらの物質が不足がちになることで情報伝達に支障が起きた状態です。
その結果、自律神経や感情、睡眠、食欲などに影響が出て、「寝つけない」「食欲がない」など、下表のような心身の不調となって現れるのです。

  • 心の症状

    • 心が晴れない、落ち込む
    • ものごとに興味・関心がわかない
    • やることはあるのにヤル気になれない

    など

  • 体の症状

    • 寝つけない、眠れない
    • 食欲がない、食べるのが面倒くさい
    • 人と会ったり話したりするのがおっくう

    など

こうした体調の異変を自覚したり、人から「最近何かあったの?様子が変だけど」と指摘されて2~3週間たっても症状が続くようなら、まずは気軽に病院の心療内科や精神科に行ってみましょう。

「うつ病」は「心の風邪」と言われるように、誰でもかかる可能性があるもの。また症状が軽く見えても、こじらせるとやっかいなところも風邪と似ていますから、こじらせる前に治療を始めることが大切です。

なりやすい人

性格と環境に関係。女性の更年期は特に注意

「うつ病」のなりやすさは、下表のような性格と環境に関係しますが、当てはまるからといって必ずしも「うつ病」になるとは限りません。
心当たりのある人は、睡眠、食事、リラックスタイムなどの生活リズムを崩さないように。また、仕事や家庭内のことでがんばりすぎないように、ゆったりとした気持ちで暮らすことが予防につながります。

  • 性 格

    • 生真面目、几帳面
    • 繊細で内向的
    • 短気で攻撃的

    など

  • 環 境

    • 家族、親しい人、ペットの死
    • 離婚、夫婦別居、配偶者や子供との不和
    • 更年期、産後、月経前症候群
    • リストラや過重な職務

    など

出典:平成23年2月厚生労働省「自殺・うつ病等の現状と今後のメンタルヘルス対策」
また、日本での「うつ病」の生涯罹患率は、男性で3.7%、女性で9.1%。特に女性に多いのは、女性ホルモン等が気分に影響を与えやすいことが原因のひとつだといわれています。
特に更年期をむかえる年齢は、夫婦関係の変化や子離れ、介護などの悩みごとが重なりやすい時期なので、本人が気をつけるだけでなく、家族や周囲も協力して気を配りたいものです。

治療法

診察では、まずは先生の問診に現在の心身の状態をあるがままに答えることが大切です。問診の結果によっては、実は「うつ病」でないこともあります。

「うつ病」あるいは「軽症うつ病」と診断されると、基本的には抗うつ薬を飲むことになります。
「うつ病」は先に説明したとおり、脳内物質(神経伝達物質)の分泌状態が関係していることがわかっていますが、抗うつ薬は、この分泌を補正するものです。
薬の効き方には個人差があり、ウソのように心がパッと晴れる人もいれば、効きづらい人もいます。効きづらい場合には、薬を替えて様子を見ます。

治るまでは仕事や家事などの負担をなるべく減らし、休養を優先することが肝心。
また、根本的な治療のためには、「うつ病」を誘発した要因をしっかり意識して、その要因から逃げないことが大事です。要因を取り除くことから逃げていると、症状は繰り返し現れてしまうもの。
精神科では、原因と考えられる様々な要因を取り除く心理療法も治療の一環として行います。

おすすめレシピ

ビタミンB群も豊富な豚肉をさっぱりとゆで豚ねぎみそソース

ビタミンB群も豊富な豚肉をさっぱりと
ゆで豚ねぎみそソース
202kcal/たんぱく質 26.6g/ビタミンB6 0.44mg

精神を安定させるセロトニンという脳の化学伝達物質となる原料であるトリプトファンという必須アミノ酸は、肉類に多く含まれます。暑い時期でも食べられるようさっぱりした調理法で工夫して。ビタミンB群もうつ症状改善には欠かせない栄養素です。

材料と作り方(2人分)

  1. 豚ヒレ肉200gは小鍋に入れ、かぶるぐらいの水と酒大さじ3を入れて火にかける。煮立ったらアクを取りながら7~8分、竹串を刺して出てくる肉汁が透き通るまで煮て、ゆで汁ごとそのまま冷ます。
  2. 万能ねぎ20gを小口切りにして、みそ大さじ2、水、酢各大さじ1、サラダ油小さじ1と混ぜ、ねぎみそソースを作る。
  3. すじを取り除いたスナップえんどう100gはゆでて、食べやすく切った1と盛りつけ、2のソースをかける。

調理/重信初江 栄養計算・アドバイザー/清水紀子(管理栄養士) 撮影/福岡拓

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