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病気と医療の知って得する豆知識

歯ぐきからの出血が、はじまりのサイン 歯周病

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歯周病菌が原因で歯ぐきや歯の周りの組織が炎症を起こしてしまう病気を「歯周病(歯周炎)」といいます。アイエス デンタルクリニック院長の石田智子先生に、その原因と治療方法についてうかがいました。

原因と症状

歯周病菌による感染症です

歯周病(歯周炎)はお口の中の歯周病菌が原因の感染症のこと。体調が良い時は何の問題もありませんが、疲労やストレスで免疫力が低下すると、歯周病菌が活発に動きだし、歯の周りの組織(歯周)が炎症を起こしてしまいます。炎症が歯ぐきにとどまっている段階を「歯肉炎」といい、10~20代の若い人に多くみられます。初期症状のサインは「歯ぐきからの出血」「口臭」「朝起きたときの口のねばつき」です。

歯周病菌は、歯と歯ぐきのすき間の「歯周ポケット」に潜んでいるので、正しいブラッシング方法でお口の清掃を心がけるだけで、悪化を防ぐことができます。

歯肉炎から歯周病(歯周炎)へ

歯肉炎の時点で適切なケアを怠ると炎症の範囲が拡がり、歯を支えている歯根膜や歯の周りの歯槽骨にまで影響がでてしまいます。ここまで進むと立派な「歯周病(歯周炎)」のできあがり。「歯ぐきがぶよぶよする」「腫れて膿がでる」「歯がぐらぐらする」などの症状がある場合は、かなり進行していると考えてください。日本の成人の8割は歯周病持ちだといわれています。

治療

治療の王道はお口の清掃──ブラッシング、フロッシング、リンス

歯周病はお口周りの病気の中で唯一、自分で治療ができる病気です。その治療法とは1日3回、食事ごとのお口の清掃。”治療”というからには、自己流の歯磨きではなく歯周病撃退に適したブラッシング方法でおこなうことが大切です。石田先生おすすめはIVM法という磨き方です。

IVM法とは別名「たて磨き」ともいわれ、歯ブラシを垂直に立てて歯に当て、歯と歯ぐきの境目に沿って小刻みに動かしながら、1本1本の歯の歯周ポケットを毛先で掻き出すつもりでブラッシングします(イラスト参照)。

歯ブラシを立てにくい奥歯は斜めでもかまいません。また、一番のポイントは下の前歯の裏側のブラッシング。ここは歯垢が溜まりやすいので、歯ブラシの”かかと”部分を歯周ポケットに90度の角度で当て、1本ずつたて磨きしてください。その後、デンタル・フロスもしくは歯間ブラシ(すき間用の小さなブラシのこと)で歯間を掃除し、デンタル・リンスでお口をすすいで終了。ブラッシングで取りきれなかった歯垢を化学的に除去するためにも、デンタル・リンスは必要です。IVM法は一見難しそうですが、慣れてしまえば簡単です。ぜひ習慣にしてください。

最終的には手術か抜歯、インプラントも

最近、歯周病が注目されているのは、炎症によって歯を失うだけではなく、全身に悪影響があることがわかってきたから。アメリカでは「floss or die(歯磨きするか、それとも死か)」と言われているほどです。このため歯周病に冒された歯を抜いて、人工歯に置き換えてしまうインプラント治療も拡がっています。

ただ、やはり初期段階で”治療”してしまう方が良いでしょう。歯ぐきからの出血が気になる方は、歯科で正しい清掃方法を教えてもらい、最低1日1回は”治療ブラッシング”を心がけましょう

歯周病を撃退するブラッシング法 IVM法(たて磨き)

  • 歯ブラシのあて方

    歯ブラシのあて方

    歯ブラシを垂直に立てて歯に当てます。”つまさき”にあたる部分は歯周ポケットに。

  • 磨き方

    磨き方

    歯周ポケットを起点に、「引き下げ→押し上げ→引き下げ→押し上げ」をくり返しながら横移動していきます。

  • 下の前歯の磨き方

    下の前歯の磨き方

    歯ブラシの”かかと”部分を歯周ポケットに90度の角度で当て、1本ずつたて磨きをします。(かかと磨き)

イラスト/ワタナベモトム

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