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不調改善ヘルスケア

脱水症・熱中症・熱射病を予防するには

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これからの季節、ニュースなどでも耳にすることが多くなる脱水症・熱中症・熱射病。2021年の場合、5月~9月の期間に熱中症で救急搬送された方は、47,877人。高温の日数が多い年や、異常に高い気温の日がある年は発生が増加する傾向があり、特に2010年以降大きく増加しています。脱水症・熱中症・熱射病は日々の予防から。正しい予防法についてノザキクリニックの野崎 豊先生にお話を伺いました。

原因と症状

水分と塩分の不足が原因

夏は、気温とともに体温も上昇するので、体は発汗によって体温を下げようとします。その汗には、水分だけでなく塩分も含まれており、この両方が失われることで脱水症に。脱水症を放っておくと、熱中症、熱射病へと症状が移行していきます。

●脱水症
水と電解質(塩分が水に溶けると電解質になります)で構成される体液が汗で失われ、その補給ができていない場合に生じます。脱水症になると、血液の量が減り、血圧が低下。必要な栄養素が体に行き渡らなくなり、不要な老廃物を排泄する力も低下します。また、食欲不振などの原因にもなります。さらに、骨や筋肉から電解質が失われることで、脚がつったり、しびれが起こることもあります。脱水症が、熱中症のさまざまな症状を誘発します。

●熱中症
熱中症とは気温の高い環境で生じる健康障害の総称です。体内の水分や塩分などのバランスが崩れ、体温の調節機能が働かなくなり、体温上昇、めまい、倦怠感、けいれんや意識障害などの症状が起こります。

熱中症の分類と対処法

重症度Ⅰ度 めまい・筋肉痛・こむら返り・大量の汗

<対処法>涼しい場所へ移動・安静・体の表面を冷やす・水分と塩分補給

重症度Ⅱ度 頭痛・吐き気・体がだるい・体に力が入らない・集中力や判断力の低下

<対処法>涼しい場所へ移動・体を冷やす・安静・十分な水分と塩分を補給。水分を自力で摂取できない場合や症状に改善が見られない場合は受診が必要。

重症度Ⅲ度 意識障害・けいれん・運動障害

<対処法>涼しい場所へ移動させ、体表冷却・体内冷却・呼吸管理。ためらうことなく救急車を要請。入院が必要。

日本救急医学会 平成30年7月「熱中症予防に関する緊急提言」より

●熱射病
熱中症のひとつ。脱水症がすすみ、体温を調節する働きが追いつかなくなることで40℃を超える高体温になり、脳の体温調節中枢機能が麻痺して起こります。意識障害やショック状態になることも。熱射病がもっとも危険で、死亡することもまれではありません。

熱中症は炎天下だけではない

熱中症は炎天下特有のものではなく、湿気の多い時期や曇りの日、日中だけでなく夜間、屋内でも起こる可能性があります。温度が高い、ムシムシする、日差しがきつい、風がない、急に暑くなったなど、体内の熱を体外にうまく放出できず体を冷やせない状況にあるときは、どんな時、どんな場所でも注意が必要です。

カリウムが不足すると細胞内が脱水症状に

汗をかくことでカリウムも失われています。カリウムは細胞内液に多く含まれており、失われると細胞内が脱水症状に。細胞内脱水は熱中症になってしまった際の回復に影響を与えます。ナトリウムを排出する働きのあるカリウムですが、汗をかいた時は実は意識して摂りたい栄養素のひとつなのです。海草類や果物、豆類などに多く含まれています。

治療法とセルフケア

涼しい環境と冷却がポイント

室内では無理はせず、扇風機やクーラーを活用し、適度な気温、湿度を保ちましょう。もし外出先などで体調に異常を感じたら、風通しのよい日陰や、クーラーが効いている室内へ。きついベルトやネクタイはゆるめ風通しを良くし、体からの熱の放散を助けます。皮膚に水をかけ、うちわや扇風機などであおぎ、体を冷やすのも方法の一つです。いかに早く体温を下げることができるかが悪化させないポイントです。

水だけでなく塩分も補給

一度に大量の水を摂取すると、かえって体内の電解質のバランスが崩れ体調不良を引き起こすことも。水分補給をする時には、あわせて塩分の補給も行いましょう。水分と塩分を同時に補給できるスポーツドリンクや経口補水液、また水や麦茶には、塩や梅干しなどを足して塩分も補給しましょう。緑茶やウーロン茶に含まれるカフェインは利尿作用があるため要注意です。

日頃からこまめな水分補給を

のどが渇いていないから、汗をかいていないから大丈夫と思いがちですが、すでに体液が減少している場合も。いつもより尿の色が濃く、量が少ない場合はすでに体内の水分不足が起こっています。のどが渇く前からのこまめな水分、塩分補給が脱水症、熱中症予防には大切です。熱中症の発生は、当日の水分、塩分不足だけではなく、数日前からの不足が原因で発生します。常日頃から水分と塩分の補給を心がけましょう。

健康状況を毎日チェック

睡眠不足、体調不良、前日の飲酒、朝食の未摂取等は、熱中症の発症に影響を与えるおそれがあります。毎日の健康管理も、熱中症予防には大切なことです。

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