カラダの豆事典

放置すると深刻な影響も 睡眠障害

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食事・睡眠・運動は健康の3大要素です。その中で睡眠についての研究は比較的新しく、最近になってさまざまな疾患と睡眠障害との関連も明らかになってきました。睡眠障害を引き起こす原因や、睡眠障害の予防や対処法について、内科医・認定産業医の桐村里紗先生に伺いました。

原因と症状

睡眠障害ってどんなもの?

以前は睡眠障害といえば、不眠症のことでした。最近では、睡眠に関する研究の進歩とともに、睡眠障害が指す範囲は拡大しています。
米国睡眠障害連合が中心になってまとめた「睡眠障害国際分類」(2005年改訂版)によると、睡眠障害には不眠症のほか、睡眠関連呼吸障害、過眠症、概日リズム睡眠障害、睡眠時随伴症、睡眠関連運動障害などがあります。

不眠症には、寝つきが悪い「入眠障害」、何度も目覚める「中途覚醒」、早く目覚める「早朝覚醒」、睡眠時間の割にぐっすり眠った感じがない「熟眠障害」があり、日常生活に支障をきたす場合は不眠症と診断されます。
睡眠関連呼吸障害の代表は「睡眠時無呼吸症候群」。過眠症は昼間に強い眠気があり、一度眠ると目覚めにくい状態を指します。概日睡眠リズム障害とは、睡眠と覚醒のリズムが乱れ、極端に寝る時間が遅くなったり早くなったりする状態です。睡眠時随伴症とはいわゆる夢遊病など、睡眠中に起こる異常行動です。睡眠関連運動障害には「むずむず脚」や寝ている間のけいれん、歯ぎしりなどがあります。
睡眠障害は大人だけでなく、子どもにも起きることがあります。

リズムの乱れとストレスが原因

睡眠には「メラトニン」というホルモンが深く関わっています。
朝、目に太陽の光が入ると、脳の松果体という部分からのメラトニンの分泌が低下することで覚醒し、およそ15時間後に再度分泌が高まることで人は自然な眠りに誘われるのです。
不規則な生活や日中に光を浴びない生活を続けていると、メラトニンの分泌がうまくいかず、睡眠障害の原因になります。メラトニンは脳内のホルモン分泌のコントロール中枢である視床下部に左右するので、睡眠が乱れるとあらゆるホルモンのバランスも乱れてしまいます。そのため睡眠の乱れは女性の月経不順を引き起こす原因にもなります。

また、人間関係や仕事、パソコンやスマートフォンの使用などによる様々なストレスは、交感神経を刺激して体や脳を興奮させるので、睡眠障害の原因になります。
人には「交感神経優位型」と「副交感神経優位型」があり、同じようにストレスを受けても、交感神経が優位になりやすい人と、そうでない人がいます。「交感神経優位型」の人は、眠りにつくのが不得意な上に、少しのリズムの乱れやストレスでもすぐに眠れなくなります。「副交感神経型」はそうした影響を受けにくい人ですが、現代的なライフスタイルによってストレスがかかり続けると、交感神経優位型に変わることもあります。

治療法とセルフケア

リズムを整え交感神経をオフに

睡眠障害の予防や改善には、緊張や興奮の神経である交感神経のスイッチを切って、リラックスの神経である副交感神経のスイッチを押すことが大切です。
交感神経を緊張させる要素の代表は、①ストレス②カフェインなどの覚醒物質や香辛料などの刺激物③寝る前の刺激④生活リズムの乱れの4つです。それぞれを緩和する習慣を身につけて、睡眠障害とさよならしましょう。

呼吸に集中してストレスケア

寝つきが悪い人の場合、思考が止まらずどんどん覚醒してしまう傾向があります。こんな時は次々と生まれてくるネガティブな考えを意図的に断ち切って、呼吸だけに意識を集中してみましょう。最初は考えが邪魔をしますが、それにとらわれず受け流すようにしていると、気がつくと眠れているかもしれません。

夕食は香辛料を控える

トウガラシ、コショウなどの香辛料には交感神経を刺激する作用があるので、夜に激辛フードを食べると寝つきや眠りの質が悪くなります。コーヒーや緑茶に入っているカフェインに覚醒作用があることは知られていますが、アルコールが代謝されてできるアセトアルデヒドにも覚醒作用があり、睡眠の質を低下させます。寝る前3時間はカフェイン入りの飲み物や酒類は控えましょう。

寝る前のスマホいじりは厳禁

ついついベッドに持ち込みがちなスマートフォンも不眠の原因になります。ブルーライトが目に入ることで脳を刺激するとともに、読んだ内容や見た映像によっても脳が刺激を受け、眠れなくなります。就寝前はスマートフォンは見ないと決めましょう。

朝はしっかりと起きる

就寝時間にメラトニンをしっかり分泌させるためには、朝、目から明るい光を入れることが大切です。朝はカーテンを開けて、太陽の光を入れましょう。曇っていたり雨の日でもOKです。朝しっかり起きることで体内時計のリズムが整い、夜はゆったりと眠ることができます。

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