立川らく朝の健康サプリ

第7回

2分間待つのだよ

以前、冬場の繁華街を歩いていました。周りには飲み屋さんがいっぱい。ひょいと路地の奥を覗いたら、そこは居酒屋の勝手口。軽トラが止まって、大量のカキを店の中に運び込んでいるじゃありませんか。おもわず店員さんに、
「随分カキを仕入れるんですねえ」。
と言ったら、
「だって今が、かき入れ時ですから」。

カキもいいけど、怖いのが食中毒ですね。冬場の食中毒といえばノロウイルスが有名。腹痛、下痢、嘔吐など、典型的な食中毒の症状が出ます。

食中毒というと、古い食材、鮮度の悪い魚、って思いがちですが、それは細菌(バクテリア)による食中毒のことで、ことノロウイルスに限っては当てはまらない。どんなに新鮮なカキでも感染する時には感染するんです。これはちょっと気になりますよ。

ノロウイルスというのは海水の中に存在しています。このノロウイルスのいる海水にカキがいれば、カキはウイルスごと海水を取り込みます。そしてウイルスを体内に残したまま、海水を排出するんですね。

こうして海水中のノロウイルスを取り込み取り込みしているうちに、貝の体内でノロウイルスが蓄積され、濃縮されるんです。それを生で(旨い旨いと言いながら)食べてんですから、そりゃ堪らないですよ。

でもね、矛盾したこと言うようですけど、冬に食中毒を一番広めてるのはカキじゃないんです。何が原因かって、それは人間なんですよ。

今やノロウイルス感染の最も多い原因は、人から人への感染なんですね。困ったことに、ノロウイルスに感染すると約2週間は便からウイルスが排泄されると言われています。そう、症状が無くなってからも1週間くらいはウイルスは出てるってわけですよ。

ノロウイルスはとっても感染力の強いウイルスですから、トイレの後の手洗いをちゃんとしない、食材や調理器具の消毒が不十分、調理場の衛生管理がいい加減、こういうことが原因になるんです。

あのね、私は保健所のまわし者じゃないんですけど、事実だから仕様がない。最近のノロウイルスの感染は、まさに「人災」と言えそうです。だからあんまりカキばかりを警戒しても意味無いんですよ。

せっかくカキの美味しい季節なんですから、おおいに楽しみましょうよ。「じゃあ生はやめてカキ酢で食べよう」って、うーん、甘いんだよねえ。いや甘いったって、三杯酢の味のことじゃない(私は甘めが好きだけど)。 酢の物になってると何となく安心な気がしますけど、酢に浸けたくらいじゃびくともしないんですよ、ノロウイルスは。

食中毒が怖ければ、やっぱり加熱して食べるとことですね。 「カキはね、半生が旨いんだよ」、おっしゃる通りです。でもねえ、半生だとノロウイルスは死滅しないんですよ、残念ながら。

じゃあどのくらい火を入れたら良いかかというと、85℃以上で90秒以上。鍋だったら、カキを入れてから2分近くは待ちたいですね。え、「2分も待ってたら、他の奴に食われちゃう」・・・一体どんなバトルやってんですか。