カラダの豆事典

まずは生活習慣の改善から 脂質異常症

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動脈硬化性疾患を引き起こす「脂質異常症」。薬による治療もひとつの選択肢ですが、最初の一歩は生活習慣を振り返り、改善ポイントを主治医といっしょに考えてみることです。
日本赤十字社医療センター健康管理部の折津政江先生にお話をうかがいました。

原因と症状

自覚症状がないため、検診で指摘されるケースがほとんど

脂質異常症は血液中の脂質、つまりコレステロールや中性脂肪が増えすぎる病気のこと。

栄養過多の現代人の宿命といえる病気ですが、血液中に脂質が増えても痛くもかゆくもないため、定期検診で指摘されて初めて気づくことも少なくありません。

普段の生活にリスク因子が多いと、動脈硬化性疾患の発症が増える

コレステロールは細胞やホルモンの材料になるなど、本来は身体に必要な成分です。ただし、増えすぎて処理しきれなくなると血管や組織を傷つけ、心筋梗塞や脳卒中などの動脈硬化性疾患を引き起こしてしまいます。

さらにさまざまな研究から、脂質異常症のほかに、喫煙、高血圧、家族歴などのリスク因子が多いほど、動脈硬化性の疾患を発症する可能性が高くなることがわかってきました。

このほか、食べすぎや偏食、運動不足、肥満やストレスなど、脂質異常症に直結する因子も動脈硬化を促進します。

治療方法とセルフケア

1日のうちで口に入れたものを全部、書き出してみましょう

脂質異常症治療の第一歩は、生活習慣の問題点の洗い出しです。リスク因子を放置したままでは、薬による治療効果も上がりません。

まずは、平日と休日の1日の食事内容を書き出してみましょう。その際、飴玉1個でも飲み物でも、口に入れたものはすべて記入することが大切です。

「書く」という行為は問題点を明確に認知し、具体的な改善行動を促す「認知行動療法」に通じるため、治療のモチベーションを高めるには最適です。

主治医と相談しながら、3ヶ月ごとに目標を立てて

とはいえ、自己流では何かと不安なもの。その点は、かかりつけの主治医と相談して、当面3ヶ月間の改善目標を決めることが大切。

この時、あれもこれもと欲張らず、できる範囲で効果がありそうな改善法を2つほど選ぶのがポイントです。3食きちんと栄養バランスを整えて食べる、脂質の吸収を抑える食物繊維を摂る、1日30分の有酸素運動を行うなど、着実に実行できることを続けましょう。栄養指導を行う内科も多いので、栄養指導を受けて目標を立てるのもおすすめです。

ちょっとがんばったら、3ヶ月後に再び脂質をチェック。中性脂肪やコレステロールの値が下がっていればそのまま続行、変化がなかったり上昇している場合は、もう少し厳しい生活改善を試みてください。

改善の余地がないほど生活習慣が整っていれば、ここで薬物療法も検討されることもあります。新しい方法をさらに3ヶ月続けても数値が改善しない場合は、改めて薬物療法を行うかどうかを検討します。

女性は生活習慣の改善効果が大きい

もちろん、総コレステロール値が280mg/dLなど非常に高い場合は、最初から薬による治療が検討されることもあります。

ただ、閉経前の女性は、エストロゲン(女性ホルモン)の作用でLDL(悪玉)コレステロールが高くならないように調整されるので、間食の多い方や運動不足の女性では生活改善の効果が期待できます。閉経前はまず生活改善を、エストロゲンの分泌が減少する閉経前後からは生活改善と薬の併用も選択肢の一つです。

検査値しか手がかりがないため、つい効果が期待できる薬に頼ってしまう脂質異常症ですが、少し体重を減らしただけで数値が改善するケースもあります。まずは、今晩の食事から生活改善を始めてみませんか。

無理をしない30分ウォーキング

ウォーキングはうっすら汗をかくぐらいの早足がおすすめですが、途中の5分間は季節の草花や景色を楽しめるぐらいのゆっくりペースで。最初の5分はウォーミングアップ、最後の5分はクールダウンを行うことも忘れずに。最初は週に3回程度、慣れてきたら徐々に回数を増やしましょう。スクワットなどの筋トレと組み合わせると、さらに効果的です。

食物繊維たっぷりレシピ

海草類や豆類、きのこや野菜などに多く含まれる食物繊維は、中性脂肪やコレステロールなどの吸収を妨げ、体外に排出してくれる働きがあります。コレステロールが気になる方は、意識して毎日の食卓に取り入れるようにしましょう。

水溶性食物繊維たっぷり豚しゃぶわかめサラダ

水溶性食物繊維たっぷり豚しゃぶわかめサラダ

1人分74kcal

● 材料 2人分
わかめ(乾物) 5g
豚もも薄切り肉 50g
万能ねぎ(小口切り) 1本
<A>
しょうが(すりおろし) 小さじ1
ポン酢 大さじ2
ごま油 小さじ1/2
● 作り方
1 わかめは水でもどし、長ければ一口大に切る。
2 鍋に湯をわかし、酒大さじ2(分量外)を入れ、1をさっとゆでて水気をきる。同じ鍋に豚肉を1枚ずつ広げてゆで、ざるにあげる。
3 2を盛り合わせて<A>をかけ、万能ねぎを散らす。

イラスト/ワタナベモトム 調理/重信初江 撮影/原ヒデトシ

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