カラダの豆事典

血管をいたわる生活で予防 心筋梗塞

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死亡原因の第2位は心臓病。その代表的な病気が心筋梗塞です。自覚症状のないまま進行して、ある日突然発作に襲われ、死に至ることもある怖い病気。70歳以上の男性がかかりやすい病気ですが、2013年5月に45歳の女優、天海祐希さんが発症したことで、若年性心筋梗塞にも注目が集まりました。生活習慣が大きく関わる病気だからこそ、早めの予防が大切です。榊原記念病院院長の友池仁暢先生にポイントを伺いました。

原因と症状

心臓の冠動脈が血栓で詰まって起こる

正常な血管/動脈硬化の血管/プラーク

心筋梗塞とは、心臓に血液を送る冠動脈に血栓(血のかたまり)が詰まって血液(酸素)が流れない状態になり、心臓の筋肉の一部が壊死する病気です。原因になる動脈硬化は、高血圧や高コレステロール血症、糖尿病、肥満などの生活習慣病のほか、運動不足や脂肪の多い食事、喫煙等の生活習慣、ストレスなども関係しています。

LDL(悪玉)コレステロールは数が増えると酸化しやすく、血管の壁に脂質として大量にたまります。これは、マクロファージという細胞がコレステロールを貧食して処理し、隆起したかたまり「プラーク」になったものです。プラークは血管内を狭くし、血管壁を硬くします。この状態が動脈硬化。プラークが大きくなると、プラークを被う血管内膜が薄く、もろくなります。そこに高血圧やストレスなどの要因が加わると、傷ついたり、破れたりします。すると、その部分を修復するために血小板が集まり、プラークの表面に血栓が作られるのです。

動脈硬化は徐々に進行する

動脈硬化は、加齢とともにゆっくりと進行するため、一種の老化現象といえます。そのため、心筋梗塞は60代、70代が発症のピークです。しかし、近年は食の欧米化が急速に浸透したため、40代50代の発症が今後増えていくと予想されています。また、20代30代といった若年の場合、家族に心筋梗塞を患った人がいる「家族性高コレステロール血症」が疑われます。喫煙やストレスが引き金になることも考えられています。

女性の発症リスクは閉経後に高くなる

女性ホルモンのエストロゲンには、LDL(悪玉)コレステロールを分解・排泄しながらHDL(善玉)コレステロールを合成し、血管壁を柔軟にする働きがあります。そのため、閉経後に女性ホルモンの分泌が減ると、総コレステロール値やLDLコレステロール値が上がる傾向にあります。その影響で、女性は40代後半から50代半ば以降、動脈硬化を起こしやすくなり、心筋梗塞の発症リスクが高くなります。

治療法とセルフケア

急性心筋梗塞は3時間以内に治療すれば救命率は90%以上

急性心筋梗塞の症状は、胸に強烈な痛みを感じ、呼吸困難や吐き気、冷や汗などが伴うことがあります。胸の痛みは、安静の状態で30分以上続きます。
心筋梗塞は、なんの前触れなく発症することが多いため、突然の発作に備えることが大切です。治療は時間の勝負。発作がおこったら、すぐに救急病院へ搬送するようにします。3時間以内に、できるだけ早く冠動脈の血流を再開させ治療を行えば救命率は高く、早期に普通の生活に戻れます。現在は、カテーテル治療やバイパス手術など治療法が進み、死亡率は1~2%と少なくなりました。

早期発見で早期治療

心筋梗塞は早期に発見できれば、数日といった短い入院で急場をしのぐことができる病気です。胸が苦しい、疲れやすい、不整脈が出始めたなど、いつもと違う症状がでたときにすぐ病院で検査をすれば見つかります。また、定期検診の血液検査や血圧の測定で、危険因子を調べておくと、予防の目安になります。

40代からスタート!血管をいたわる生活を

血管に刺激を与える 1日1万歩の散歩

血管に刺激を与える 1日1万歩の散歩

適度な運動は、血液の循環を改善したり、善玉コレステロールを増やしたり、血圧や血糖値を下げたりします。1日1万歩の散歩や、1回30~40分の早歩きを週3回程度行うとよいでしょう。運動は、ストレスの発散にも効果的です。

血圧を上げない 塩分制限

血圧を上げない 塩分制限

塩分の取り過ぎは、高血圧の一因になります。調理の塩加減に注意するだけでなく、加工品に多く含まれるナトリウム量を必ずチェックしましょう。動脈硬化予防のためには、1日の塩分量の理想は6g以下。薄味で物足りない場合は、レモンやゆずなどの柑橘類や酸味、香辛料などで味を工夫しましょう。

血の固まりにくい 低脂肪&減糖質食

血の固まりにくい 低脂肪&減糖質食

肉類や油脂類、乳製品に含まれる飽和脂肪酸は、動脈硬化を促進します。また、炭水化物や甘いお菓子に含まれる糖分は、肥満につながります。野菜や魚介類、海藻類、大豆などを中心にした食事内容にしましょう。食物繊維やミネラル、ビタミンなどの栄養素を十分にとると、血液中のコレステロール、中性脂肪を減少させます。

血栓を予防する 禁煙&節酒

たばこをやめると血管内皮細胞が元気になったり、HDL(善玉)コレステロール値が改善しますので、動脈硬化の進行や血栓ができるのを抑えられます。自分でたばこを吸わなくても、まわりの喫煙環境でも悪影響がでます。これは副流煙とよばれていますが、自分で吸う以上に悪いという成績も報告されていますので注意しましょう。また、大量飲酒は血圧を上昇させ、中性脂肪を増やして動脈硬化を悪化させます。

イラスト/ワタナベモトム

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