カラダの豆事典

ノロウイルスによる胃腸炎

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ノロウイルスが猛威をふるう季節になりました。感染、発症すれば、嘔吐や下痢に見舞われ、体力の消耗も激しくなります。ノロウイルスによる胃腸炎を未然に防ぐにはどうすればよいのでしょうか。また、万が一、発症した場合、どんな対策を取ればよいのでしょうか。たまきクリニック院長の玉木優子先生に伺いました。

原因と症状

感染力が強いノロウイルス

突然の嘔吐や下痢を引き起こす急性胃腸炎。中でもウイルスや細菌などに感染して起きるものを感染性胃腸炎といいます。感染性胃腸炎の中には細菌性のものとウイルス性のものがあり、細菌性のものは腸炎ビブリオ、サルモネラ菌、病原性大腸菌など夏に多く、ウイルス性のものはノロウイルス、ロタウイルスなど冬に流行するものが多いのが特徴です。
冬の感染性胃腸炎の半数以上の原因を占めるのが、ノロウイルスです。主に11月~3月にかけて流行し、感染すると小腸の粘膜で増殖し、発症に至ります。主な症状は吐き気や嘔吐、脱水症状、下痢です。そのほか、腹痛や発熱などを引き起こすこともあります。感染力は強く、風邪などと比較しても少量のウイルスでも発症することがあります。特に抵抗力が弱い高齢者や、乳幼児は重症化しやすいので注意が必要です。

主な感染経路は3パターン

ノロウイルスの感染経路は以下の3パターンがあります。

1)人から人への感染
ノロウイルス感染者の吐瀉物(としゃぶつ)や便に接触した後、手洗いが十分でない場合、手に残ったウイルスから感染します。また、感染者の咳などの飛沫(ひまつ)を吸入しても、感染の原因になります。吐瀉物や便の処理が不十分な場合も注意が必要です。残ったウイルスが空気中に舞い上がり、それを吸引すると感染するからです。また、感染者が入浴した場合、浴槽などがウイルスで汚染され、感染源となることもあります。

2)食品から人への感染
ノロウイルスに汚染された二枚貝(牡蠣など)を生食したり、十分に加熱しなかったりした場合、感染します。

3)人から食品、食品から人への感染
ノロウイルスに感染した人が、手を十分に洗わずに調理すると、食品がウイルスに汚染されます。それを食べることで感染します。

治療法とセルフケア

医療機関では対症療法

ノロウイルスに有効な薬は開発されておらず、医療機関では症状を緩和させる対症療法が用いられます。吐き気などの症状に対して薬を投与することがありますが、大切なのは嘔吐や下痢による脱水症状を緩和することです。そのため、経口補水液の点滴を施したりします。水分の補給はウイルスを体外へと排出する効果があり、症状の改善に役立ちます。

自宅でも経口補水液を

医療機関での治療同様、自宅でも水分補給が重要です。嘔吐や下痢が続くようでしたら、経口補水液を飲み、脱水症状を防ぐようにしてください。注意が必要なのは下痢止め薬です。排泄によってウイルスは体外に出すことができますが、薬で下痢を無理に止めると、腸内にウイルスが留まり、症状の回復を遅らせることがあります。下痢がひどく、下痢止め薬を使用したいときは、主治医に相談したり、医療機関を受診したりしてください。

抵抗力を高め、腸内環境を整える

ノロウイルスの感染を防ぐには、十分な睡眠、栄養バランスの取れた食生活、適度な運動を心がけ、体の抵抗力を高めることが基本です。
また、腸内環境を整えることも大切です。腸内には善玉菌と悪玉菌がいますが、善玉菌が優勢だとノロウイルスなどの感染症にかかりにくいといわれています。善玉菌はヨーグルトや納豆、キムチなどの発酵食品や、食物繊維の摂取によって活性化します。こうした食品を積極的に食べることもおすすめです。

手洗い、マスクで感染防止

帰宅後やトイレ使用後は、石けんで指先や爪の間、指の間など、念入りに洗ってください。人混みの中に出るときはマスクを着用し、電車のつり革や、エスカレーターの手すりなどにつかまった手で、安易に口元などを触らないようにします。

牡蠣などは十分に加熱して

牡蠣などの二枚貝を調理するときは、中まで火が通るよう、十分に加熱します。85〜90度以上の温度で、90秒間の加熱が目安です。

感染者が出たら消毒を

家族が感染し、室内やトイレで嘔吐したときは、使い捨て手袋、マスク、エプロンを着用し、換気をしながら吐瀉物を拭き取り、塩素系消毒剤で消毒します。

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