カラダの豆事典

うつ病

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うつ病の患者数は増加傾向にあるといわれています。メディアでも取り上げられることが多く、「自分もうつ病では?」と悩む人も多そうですが、うつ病とはどんな状態を指すのでしょうか。原因や症状など、うつ病の基本知識を、日本うつ病センター・六番町メンタルクリニック所長の野村総一郎先生に伺いました。

原因と症状

うつ病の最大原因はストレス

うつ病はストレスをきっかけに発症することが多いと言われています。ストレスの中でも、うつ病の引き金になりやすいのが、大切な人やものを失う喪失感、環境の変化、人間関係のトラブルの3つです。そのほか、経済的困窮や持病など、ライフイベントによるストレスはうつ病を発症することがあります。ただ、ストレスに対する反応には個人差があり、同じような状況下であっても、それをストレスと感じる人もいれば、感じない人もいます。

性格も危険因子の一つ

ストレスを感じやすい性格として、メランコリー親和型性格が挙げられます。この性格の特徴は生真面目で几帳面、責任感が強いことです。社会的には評価されますが、その反面、他人の評価が気になり、問題が起こると悲観的になる傾向があります。執着性格も注意が必要です。仕事熱心で完璧主義、凝り性で弱音を吐きません。そのため、何でも一人で抱え込み、悩んでしまうのです。ただ、性格はうつ病の大きな要因ではなく、あくまでも危険因子の一つです。必要以上に重く考えないでください。

遺伝や遺伝子も関係する

うつ病と遺伝は関係性が確認されています。親子や兄弟など二親等以内の血縁者にうつ病の人がいる場合、いない人と比較して、うつ病の発症率は2〜3倍高くなるといわれています。精神の安定をもたらすセロトニンという脳内物質がありますが、セロトニンの分泌を調節しているのが、セロトニントランスポーター遺伝子です。この遺伝子にはSS型、SL型、LL型の3種類があります。LL型の遺伝子を持つ人は最もおおらかで、SS型の遺伝子は逆に不安を感じやすく、うつ病のリスクが高いといわれています。SL型は両方の中間です。日本人はSS型を持つ人が多いため、うつ病に注意する必要があります。

病気も引き金になる

うつ病の危険因子として病気も考えられます。たとえば糖尿病など、長期にわたる食事制限が必要な場合、それが大きなストレスとなり、うつ病を発症することがあります。また、がんなど命に関わる病気になった場合、そのショックからうつ病を招くことがあります。

抑うつ状態が長く続く

誰もが気分が落ち込んだり、悲しんだり、やる気が出なかったりすることがあります。このような状態を〝抑うつ〟といいます。一時的にマイナス感情になりますが、多くの場合が時間の経過とともに気分が晴れて、元気を取り戻します。しかし、うつ病がもたらす抑うつは時間では解決できません。うつ病による抑うつは日常生活や社会生活に支障をきたすほど重く、長く、本人にとってはとても苦しいものなのです。抑うつが2週間以上も続くようでしたら、うつ病を疑ってください。

心と体の両面で症状が出る

具体的な症状は、心の面ではゆううつな気分をはじめ、自分や将来への悲観、罪の意識、自殺願望、イライラ、判断力の低下などが挙げられます。体の面では不眠や疲労感、食欲低下、体調不良、性欲消失、おっくうで働けないなどの症状が起こりやすくなります。これらに多く該当するほど、うつ病の深刻度は高まります。

治療法とセルフケア

治療の中心は薬物療法

うつ病治療の中心となるのは、抗うつ薬による薬物療法です。抗うつ薬にはいくつかの種類があり、医師は患者に適した抗うつ薬を選択・処方します。効き目や副作用を確認しながら、必要であれば別の種類の抗うつ薬に切り替えます。最初に処方された抗うつ薬で改善する確率は6〜7割程度です。残りの3〜4割の患者は薬を変えることで、多くの場合、症状は改善します。

根本原因を取り除く精神療法

抗うつ薬を服用すれば、症状の改善は期待できます。しかし薬物療法だけでは完全に治すことはできません。というのは、発症前と同じ生活環境に戻り、同じような考え方で行動していたのでは再発の可能性が高まるからです。そこで注目されているのが精神療法です。これは、うつ病発症のきっかけとなったストレスや生活・社会環境、自分の性格傾向などを患者が見つめ直し、自ら解決できるよう、精神科医など心の病気の専門家が援助する治療法です。精神療法によって、うつ病の根本的な問題の解決をはかることができます。

ストレスを減らす工夫を

セルフケアとしては、うつ病の大敵であるストレスとうまく付き合うことが大事です。ストレスを完全に取り払うことは難しいですが、あまり深刻に考えないなど、ストレスを頭の中から消していくことを心がけます。また、無理な目標を立てたりして、自分からストレスをつくらないことも大切です。日頃から休養や休憩を十分に取り、睡眠時間も確保してください。仕事や人間関係も大事ですが、健康があってこそ、です。どうしても悩みが出た場合は一人で抱え込まず、身近な人や、あるいはカウンセラーに相談しましょう。

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