カラダの豆事典

痛風

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風が吹いても痛いといわれる痛風。身近でよく聞く病気の1つですが、意外と知らないこともあります。痛風の基礎知識について、帝京大学医学部附属新宿クリニック院長の藤森新先生に伺いました。

原因と症状

痛風の原因物質は尿酸

痛風は体内の尿酸が過剰になって結晶化し、関節などにたまって炎症を引き起こす病気です。原因となる尿酸は、プリン体という物質が肝臓で分解されるときに作られます。プリン体は細胞の核内にあるDNAやRNAに含まれる成分の1つで、新陳代謝によって放出されます。そのプリン体が肝臓で分解され、尿酸となるのです。また、プリン体は内臓などを動かすときのエネルギー代謝によっても生じ、食べ物からも体内に入ってきます。

尿酸が過剰になると要注意

1日に作られる尿酸は約700mgです。ほぼ同じ量が排泄されるので、体内の尿酸は常に一定量(約1200mg)に保たれています。これを「尿酸プール」と呼びます。ところが、尿酸が多く作られすぎたり、うまく排泄されなくなったりすると、尿酸プールがあふれ出し、血液中の尿酸の量が増えてしまいます。血液中の尿酸の量が7.0mg/dlを超えると高尿酸血症と診断され、尿酸が結晶化しやすく、痛風の発作を起こす可能性が高まります。

耐えがたい痛みが特徴

結晶化した尿酸が蓄積していくと、結節(けっせつ)と呼ばれる結晶のかたまりができます。なにかの拍子で結節から結晶がこぼれ落ちると、白血球はそれを異物とみなして攻撃します。それが原因で炎症が起こり、足の親指の付け根などに耐えがたいほどの痛みが生じ、患部は赤く腫れます。これは、痛風発作と呼ばれており、ほとんどの場合は、数日から1週間でおさまります。しかし尿酸値が高い状態が続くと再発を繰り返すことになり、おさまるのに長期間を要するようになります。また、高尿酸血症は他の合併症を引き起こすリスクも高まります。尿酸の結晶が尿路に詰まれば尿路結石、腎臓に沈着すれば腎障害を起こすことがあります。

生活習慣病にも注意

痛風予備軍ともいえる高尿酸血症ですが、同時に高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病を併発しているケースが多く見られます。放置すれば動脈硬化が進行し、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞、脳出血など命に関わる重大な病気を起こすリスクも高まります。尿酸値が高い場合は痛風だけでなく、生活習慣病にも注意する必要があります。

男性に圧倒的に多い

痛風は圧倒的に男性に多い病気です。その理由は痛風の原因である血液中の尿酸濃度にあります。男性と比較して、女性の尿酸濃度はかなり低くなっているのです。実は、女性ホルモンには腎臓から尿酸の排泄を促す働きがあり、女性の尿酸値は男性ほど高くなりません。しかし閉経後、女性ホルモンの分泌が減少すると尿酸値は高くなる傾向があります。

治療法とセルフケア

生活習慣の改善が第一

痛風や高尿酸血症は遺伝的な素因のほか、日々の生活習慣と深い関係にあります。なかでも注意したいのは次の4つです。尿酸値が高い人は生活習慣を見直し、自分でコントロールするようにしましょう。

糖質の多い食品を控える

糖質は過剰摂取すると脂肪として蓄積され、肥満の原因になります。なかでも果物やハチミツ、砂糖などに含まれる果糖は中性脂肪に変わりやすく、体内で尿酸値を上昇させる働きもあるので摂り過ぎに注意しましょう。

●プリン体の多い食品を控える

以前は尿酸の原因となるプリン体を多く含む食品は、厳しく制限されていました。しかし、現在は、低プリン体食を意識しすぎると、食品選択に偏りが生じるため、極端にプリン体含有量の多い食品を好む場合のみ、摂取頻度の是正を促しています。そのため、プリン体を多く含む肉や魚などの動物性食品の過剰摂取は禁物です。特にレバーや干物に多いので気をつけてください。

●お酒(アルコール)を控える

プリン体はアルコールの分解を促進し、尿酸値を上昇させます。また、アルコールが体内で分解されるときにできる物質が、腎臓からの尿酸の排泄を低下させてしまいます。さらにビールなどアルコール飲料自体にプリン体が含まれています。お酒の種類を問わず、尿酸値が高い人は節酒すべきです。

●肥満を解消する

脂肪が蓄積すると尿酸が作られやすくなり、また排泄されにくくなります。特にお腹周りに脂肪がつく内臓脂肪型肥満は要注意です。肥満の指標であるBMIの正常値である18.5〜25.0未満になるよう、運動などで健康的にダイエットしましょう。
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

薬物療法は長期戦

治療は生活習慣の改善とともに、尿酸値を低下させる薬物療法が中心です。尿酸値を下げる薬には、尿酸の産生を抑える尿酸産生抑制薬、尿酸の排泄を促進する尿酸排泄推進薬があります。これらは痛風の痛みや腫れを抑えるものではなく、尿酸値を低下させて痛風の発作や合併症を防ぐことを目的とします。医師の指示のもと、根気強く続けて薬の量を減らすことを目指しましょう。

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