差がつく医療のハナシ

「まあ、いいか」では済まされない 薬の飲み忘れリスク

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  • 源木(げんき)さん

    「薬は決められたとおりに飲むべき」とわかっていても、つい飲み忘れたり、もう治ったと思って途中でやめたりすることってありますよね。
  • 健谷(すこや)課長

    処方された薬を飲みきれず、手元に残ったままになる「残薬(ざんやく)」は、社会的な問題にまでなっています。適切な量を、決められたとおり飲むための工夫が必要です。

財政を圧迫する残薬問題とは?

薬は決められた量を正しい方法で飲むことによって、期待される治療効果が得られます。飲み忘れたり、完治しないうちに自己判断で飲むのをやめたりすると、治るのが遅くなる恐れがあるのです。本来なら飲むべきだったにもかかわらず、なんらかの理由で手元に余ってしまった薬を、残薬と呼びます。薬を飲まなかったせいで症状が改善されないと、医師がさらに多くの薬を処方して残薬が増えるという、悪循環に陥るケースもあります。
厚生労働省が発表した平成25年度の調査では、残薬の有無をたずねられて「ある」と答えた患者さんがいた薬局は約9割、薬が余った経験を聞かれて「ある」と答えた患者さんは約5割にのぼるという結果が出ています。

残薬問題は患者さんの健康のみならず、日本の財政問題にまで影響を及ぼしています。平成23年度の厚生労働省のデータでは、財政を圧迫している医療費は年間約40兆円で、そのうち約8兆円を薬剤費が占めます。平成13年度の薬剤費は約6兆円だったため、10年の間に約2兆円増えたことになります。残薬は、薬剤費がここまで膨れ上がった要因の一つとして問題視されているのです。日本薬剤師会が平成19年に行った調査からの推計によると、在宅の75歳以上の高齢者だけで、残薬は年間およそ475億円分。75歳未満の人の分も合わせたら、莫大な金額になることは容易に予想できるでしょう。

健谷課長の
「ここでチェック!」
在宅の75歳以上の高齢者だけで、残薬は年間およそ475億円分。75歳未満の人の分も合わせたら、莫大な金額になります。

薬が余るのを防ぐための工夫

薬が余る原因でもっとも多いのは飲み忘れで、次いで自己判断による服薬の中止や、新たに別の薬が処方されたことが挙げられます。

医薬品が余った理由は何か?(複数回答)(患者調査N=1,072)

※出典:平成25年厚生労働省保険局医療課委託調査「薬局の機能に係る実態調査」

飲み忘れを防ぐには、あらかじめ設定した薬を飲む曜日や時間になると、スマートフォンなどに通知される無料のメールサービスやアプリを利用するという手があります。スマートフォンなどを利用しない方は、薬局や100円ショップなどで入手できるお薬カレンダー(曜日や朝・昼・夜ごとに分かれたポケットに、薬を入れて壁に吊るして使う便利グッズ)を利用してもよいでしょう。

社会的な取り組みとして提唱されているのが、薬を取りに来た患者さんに残薬がないかを確認した薬剤師が、状況に応じて処方量を医師と相談する薬剤管理指導です。薬剤師から患者さんへの薬剤管理指導によって処方量を減らせるだけでなく、飲んでいる薬の種類が把握できるので、飲みあわせによる副作用を防げることも期待されています。

  • お薬が余ってしまうのは、医療費と治療効果の両方の面で問題なんですね。私はスマートフォンを使っているので、服薬時間を通知してくれるアプリをさっそくダウンロードしてみました。
  • そう、その意識が今回の差がつくポイント!
    これで明日もすこやか、すこやか!

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