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カンタン健康生活習慣

知っておきたい正しい薬の飲み方

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監修:東京薬科大学薬学部教授 加藤哲太先生

かぜ薬を飲む時にコーヒーで流し込んでいたら、周りの人に驚かれちゃった。水じゃなきゃいけないって言われたけど、どうしていけないのかな?他にも、知らずにうっかりやってる間違いがあるかもしれないから、薬の飲み方についてちゃんと知りたいな……。

まずは薬のカン違いをチェック

薬とは、自分が本来持っている治癒力が落ちた時、体の中で細菌をやっつけたり、熱を下げたりするためなどに用いるものです。正しく使えば自分の健康を守ってくれますが、使い方を間違えると、本来得られる効果を得られなかったり、健康を害したりする可能性もあります。また、捨て方にもルールがあります。
まずは、あなたの薬の知識をチェックしてみましょう。下記のうち、正しいと思うものを選んでください。

  • 「食後30分」の薬は、食事が終わってから30分後に飲む
  • 薬は水なしで飲んでもいい
  • 薬は牛乳と一緒に飲んでもいい
  • 錠剤を砕いたり、カプセルの中身だけを取り出して飲むと効き目がよくなる
  • 子どもには大人用を半分に割って飲ませても大丈夫
  • 余った薬を捨てる時は、不燃ごみとして出す

間違いやすい6つのポイント

実は、上の6つはすべて間違っています。今回ご紹介する正しい薬の飲み方を参考にして、健康のために役立てましょう。理由がわかると、「どっちだっけ?」と迷わなくなります。

①食前・食後・食間はいつ?

薬の袋に書いてある「食前・食後・食間」は、その薬を飲むタイミングのこと。
胃の中に何もない状態の時に飲んだ方が効果的な薬は、「食前」に飲みます。これは、胃の中に入っている食べものと薬が混ざってしまうと、薬の効果が弱まってしまうためで、薬を飲んで30分ぐらい空けてから食事をします。漢方薬やある種の胃腸薬、糖尿病薬などがあてはまります。
「食後」と書かれているのは、食後すぐに飲むことを指示したものではなく、「食後30分以内に飲むように指示したもの」です。
胃に刺激を与えるような強い薬の場合は、胃に食べ物が入っている状態の時に飲まなければ、薬で胃が荒れてしまいます。胃に入った食べ物は、大体30分ぐらいかけて徐々に消化されていきますので、この間に飲みましょうという意味なのです。具体的に、「食後なるべく30分以内に服用してください。」と書いてある場合もあります。
「食間」というのは、食事をしてからおよそ2時間は経過してから飲むもの。食事の影響を受けやすい胃腸薬や漢方薬に記載します。

②どうして水が必要なの?

薬を水なしで飲むのは危険です。カプセルや錠剤がのどや食道に貼り付いた場合、その部分の粘膜を傷めてしまうことがあるからです。
しかも、薬は水に溶けることで吸収がよくなりますし、水に溶けてから効き目を発揮するまでの時間を想定して作られていますので、コップ1杯(約200cc)の水かぬるま湯で飲むようにしましょう。特に抗生物質や解熱鎮痛剤などは、多めの水で飲むことで胃の保護にもなります。ただし、のど用の薬など、水なしで服用するものもあるので、処方された薬の用法を守って正しく服用しましょう。

③水以外で飲んではダメ?

水以外の飲み物と一緒に飲むと、薬の成分が飲み物の成分と作用しあって、予期しないトラブルが起きることがあります。
例えば、グレープフルーツジュースの場合、含まれている成分が薬の代謝を阻害することによって薬が効き過ぎてしまうため、降圧剤や抗生物質、胃腸薬などと一緒に飲むのは危険です。また牛乳は、含まれているカルシウムが薬の成分と結びついて反応することがあります。
コーヒーなどのカフェイン入りの飲み物は、一部の頭痛薬や風邪薬、鼻炎薬などカフェイン入りの薬と一緒に飲むと過剰摂取になるので危険です。アルコールと薬を一緒に摂るのは、さらに危険なので止めましょう。
やはり、薬は水か白湯で飲むのが一番です。最近では水なしでも飲める薬も開発されていますが、薬全体のごく一部です。また、唾液が少ないなど、水なしで飲める薬が飲み込みにくい場合は、水や白湯と一緒に飲んでかまいません。

④錠剤を砕くといけないの?

効果を最大限に引き出すため、薬には様々な工夫が施されています。
例えば1日1錠タイプの場合、錠剤が何層にも分かれているのが一般的です。一番外側は糖分などでコーティングされていて、内側に行くほど溶けにくい成分になっています。こういった工夫により、成分は外側からゆっくり溶けだし、薬の効果が長く持続します。薬を砕いてしまうと、こうした工夫が台無しに。
カプセル剤の場合も、中身だけ出してしまうとせっかくの工夫が無駄になり、悪い影響が出る可能性もあります。

⑤子どもと大人の薬は違うの?

子どもに処方される薬は大人とは違い、種類が決まっています。また、大人の薬には、子どもに飲ませてはいけない成分も入っているものもあり、中にはアレルギーのある子どもには危険な成分もあります。子供に割って半分のませるといった指示のある市販薬もありますが、添付文書に記載がない場合は大人の薬を割ったり、少量だからといって子どもに飲ませるのはやめてください。

⑥残った薬の捨て方は?

薬を排水溝に流したり、不燃ごみとしてそのまま捨てると、環境汚染の原因になります。錠剤やカプセル剤などは容器から取り出して、可燃ごみとして捨てましょう。目薬やドリンク剤などの液剤や軟膏なども容器から出して、廃油などと同様に、新聞紙やティッシュなどに含ませてから、可燃ごみとして捨てます。

何気なく飲んでいた薬だけど、知らなかったことがいっぱい!
正しい飲み方、友達にも教えてあげようっと♪

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