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病気と医療の知って得する豆知識

大人も要注意?深刻化する手足口病とは?

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監修/能登信孝先生(のと小児科クリニック院長・日本大学医学部臨床教授・医学博士)

手足口病っていうと子どもがかかる夏風邪というイメージがあるけど、大人もかかるらしい! しかも、なかには深刻化するケースがあるみたい・・・。何だかこわいな。そもそも手足口病って、手と足と口がどうなっちゃうの?

三大夏風邪の一つ「手足口病」

風邪というと、寒い時期にひくものというイメージがありますが、暑い夏でも風邪をひくことがありますよね。
それは、インフルエンザウイルスのように低温低湿の環境を好むウイルスがいる一方で、高温多湿の環境を好むウイルスもいるからです。高温多湿時に元気になるウイルスが引き起こす風邪が、いわゆる夏風邪です。
「手足口病」は、「ヘルパンギーナ」「プール熱(咽頭結膜熱)」とともに、三大夏風邪の一つとされています。

手足口病とは、そのインパクト大の名のとおり、手のひら、足の裏、口の中に痛みをともなう発疹が現れる夏風邪です。発疹は米粒大でやや盛り上がっており、水疱化するものもあります。また、かかった場合、3割程度は発熱をともないます。
手足口病にかかるのは乳幼児が多く、子どもを持つ親には知られた病気です。しかし、子どもだけがかかるのでなく、大人でもかかるので注意が必要です。

大人がかかると症状が重めに

実は、手足口病は、子どもよりも大人のほうが、症状が重く出やすいことが特徴です。
まず、発疹の痛みは大人のほうが強く出ます。とにかく痛く、足裏などにひどく出ると歩けないほどになります。また、インフルエンザにかかる前のような、全身倦怠感、悪寒、関節痛、筋肉痛などの症状が出ることがあるのも、大人の特徴です。
身近に、手足口病にかかったお子さんなどがいない場合、多くの大人は発疹が出ても手足口病には思い至らないため、「何だ、このよくわからない発疹は?そういえば体もだるいし、いったい何?」ということで病院に来られるパターンがほとんどです。

また、1度かかって免疫ができても、何度もかかる場合もあります。それは、ひとくちに手足口病といっても、ウイルスがいくつもあるからです。
メインは「コクサッキーウイルスA6・A16」「エンテロウイルス71」で、まれに「コクサッキーウイルスA10」によるものもあります。あるウイルスにかかれば、そのウイルスに対する免疫はできますが、他のウイルスに感染すると、また発症してしまいます。
インフルエンザウイルスに、A型、B型など複数のタイプがあるのと同じです。そのため、かかったことのないウイルスと接触すると、何度も発症することになるのです。

手足口以外にも症状が

手足口病は、かかった人の咳、くしゃみなどから感染する飛沫感染で、ウイルスの侵入門戸は口であるため、発疹も口内が最初と考えられます。
ただし、実際には手足口、ほぼ同時に症状が出るという印象でしょう。口の中の発疹は見えにくいため、まず手足の発疹で気づく場合がほとんどだからです。
口の中の発疹は口内炎と同じような感じなので、「口内炎ができたなあ」と思っていたら実際には手足口病だった、ということもあります。ただし口だけでなく、手足の発疹も認められないと、手足口病という診断はつきません。

また、発疹が、手足口以外にひじ、ひざ、お尻などに見られることもあります。特に近年では、手足口に加えてお尻に出る傾向が強くなっています。これはおそらく、ウイルスが少しずつ変異しているからだと考えられます。

危険な合併症につながることも

手足口病は、抗ウイルス薬はないため、かかった場合は、熱を下げたり、発疹の痛みを抑えたりする解熱鎮痛剤による対症療法が中心となります。多くの場合は、一週間程度で治っていきます。 ところが、なかには「髄膜炎」「小脳失調症」「脳炎」といった中枢神経系の合併症や、「心筋炎」「神経原性肺水腫」「急性弛緩性麻痺」などを引き起こすケースもあります。高熱が続いたり、頭痛、嘔吐などの症状が見られたりした際は、すぐに医療機関を受診してください。

その症状、手足口病かも!?

夏期に次のような症状が見られたら、手足口病かもしれません。勝手に自己判断せず、早めに医療機関を受診しましょう。

  • 口内炎ができており、よく見ると手や足にもうっすら発疹のようなものが出ている
  • 口の中が痛く、熱がある
  • なんだかよくわからない発疹が、手足やほかの箇所に見られる
  • 風邪の前触れのような悪寒がある
  • 全身がだるい
  • 関節痛や筋肉痛を感じる

手足口病に大人がかかるケースで最も多いのは、自身のお子さんがかかり、そこからもらうというパターン。お子さんがかかったあとに、これらの項目のうち一つでも当てはまれば、かかっている確率は高いといえます。
お子さんのいない大人でも、公共交通機関などの場で子どもと接触することはありますから、免疫力が落ちていればかかってしまいます。

症状の出方はまちまちですが、チェックがつく項目が多いほど、かかっている確率は高いといえるでしょう。

手洗い、うがいは念入りに

予防するには、かかった子どもの看病をする際に感染しないよう、十分気をつけることと、免疫力を高めること。それ以外に方法はありません。
手足口病は基本的には飛沫感染ですから、かかった人の唾液などが口の中に入らなければ感染を防ぐことができます。全ての風邪予防にいえることですが、やはり手洗い、うがいは念入りに行ってください。
また、お子さんがかかった場合、看病する大人は要注意。必ずマスク着用で接し、いつも以上に手洗い、うがいをきっちりと行なってください。また、ウイルスは便中にも出ます。便から感染する糞口感染は少ないですが、オムツ替えのあとは、いつもより念入りに手洗いをするようにしてください。

長時間の日焼けは避ける

日焼けをすると免疫力が落ちることがわかっています。夏場は海水浴などのレジャーに出かける機会も多いかと思いますが、日焼け対策はきっちりと行ないましょう。なかには肌を焼きたいという方もいるようですが、免疫力アップ、風邪予防の観点からは完全にNGといえます。

睡眠はしっかりとる

寝不足の状態だと免疫力は明らかに落ち、風邪にかかりやすくなります。暑さのために寝苦しいことも多いかもしれませんが、適宜エアコンを使うなどして、良質の睡眠を十分確保するようにしましょう。

女性は生理後に要注意!

生理は、実はウイルスの活性化を促す誘発因子の一つとされています。生理は避けようがないので仕方がないのですが、生理のときは十分休養を取るなど、いつも以上に体をいたわり、無理のない生活を心がけてください。

暴飲暴食もNG!

夏場はついビールや冷たいものばかり飲んだり、開放感からドカ食いしてしまったりしがちですが、これも手足口病などの風邪をひきやすくする行為です。暴飲暴食は、胃腸に負担をかけます。腸は免疫力を生み出す要ですから、腸が疲れると、免疫力もガクンと落ちてしまうのです。食べ過ぎ、飲み過ぎに注意し、バランスの取れた、適量の食事をとるようにしてください。

紫外線対策は、風邪予防にもなるのね!
夜更かしや暴飲暴食にも気をつけようっと。

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