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未来のヘルスケア ショートショート

選択肢ごとに結末が変わる! 自分次第ショートショート

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猫型Wi-Fi

を選んだ場合の結末

修平のもとに届いたもの。
それは猫型のWi-Fiだった。
ベージュっぽいモフモフの毛で
覆われたそれは本物の猫のようで、
説明書によると人工知能を搭載した
自律型のWi-Fiルーターなのだという。
さわり心地がいいなぁと思いながら、
修平はさっそく起動してみた。
その瞬間、猫型Wi-Fiは
立ち上がって「ナァ」と
甘い声を出してすり寄ってきた。

01/06

キナコは自分の家族だからだ。
ある日の夜も、修平がベッドで
スマホをいじっていると、
キナコがトコトコとやってきて、
布団の中へと身体をねじこんできた。
キナコとスマホとの距離が近づいて、
ネットはサクサク動きだす。
が、そんなことなどどうでもいいと、
修平はさっさとスマホを放る。
そして、ゴロゴロと喉を鳴らす
キナコのことを撫でながら、
心地よい眠りの中へと
二人一緒に落ちていく。 終わり

06/06

金属の爪で引っ掻くので、
カーテンやソファーは
ボロボロになった。
書類は破られ、ゴミ箱は倒され、
コードは噛まれた。
「こら! キナコ!」
叱ってみても、キナコはまるで
知らん顔で「ナァ」と甘い声を出す。
修平は「はぁ」と、ため息をつく。
しかし、そんなことがあろうとも、
修平は元のWi-Fiに戻したいと
思ったことは一度もなかった。

05/06

それ以来、修平は
オンライン会議があるときなどは、
機嫌が悪くなりそうな
気配を察知すると猫じゃらしを
取りだして、こっそり足元で
遊んでやらざるを得なくなった。
困ったことは、ほかにもあった。
キナコがふらっと
別の部屋に行ってしまえば、
修平もWi-Fiを求めてそちらに
移動しなければならなかったし、
パソコンのキーボードの上にも
よく乗っかって邪魔をしてきた。

04/06

しかし、修平はあることに頭を抱えた。
それは肝心のWi-Fi機能だ。
たしかに、キナコのWi-Fiは高速だった。
が、それは機嫌がいいときだけの話だ。
キナコは本物の猫のように気まぐれで、
そのときの機嫌によってWi-Fiが
高速になったり低速になったりする
ありさまだった。
一度、修平はそのことで
キナコを叱ってみた。
が、まったくの逆効果で、
キナコはますます機嫌を損ね、
ぷっつりとWi-Fiを切ってしまった。

03/06

修平の心は、一瞬にして奪われた。
なんてかわいいやつなんだ……!
「名前は……うん、キナコだなっ。
キナコ、おいで」
修平が撫でてやると、
キナコはゴロゴロと喉を鳴らした。
その日から、キナコとの
暮らしがはじまった。
キナコはモフモフなだけではなく、
まるで生きているかのように体温もあった。
ひとり暮らしの在宅勤務で
どこか孤独感を覚えていた修平は、
キナコの存在に大いに心を癒された。

02/06