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未来のヘルスケア ショートショート

選択肢ごとに結末が変わる! 自分次第ショートショート

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オカン型Wi-Fi

を選んだ場合の結末

修平のもとに届いたもの。
それはオカン型のWi-Fiだった。
オカンのような性格のAIが
搭載された、スピーカー付きの
Wi-Fiルーターなのだという。
修平は興味をそそられ、
さっそくそれを起動してみた。
その瞬間、部屋の中に声が響いた。
「あんたの名前、教えてくれんか?」

01/08

修平は、こう返すのでやっとだった。
「ほ、ほっとけよ……!」
とにかく、オカンが何か
余計なことをやらかす前に──。
修平は猛スピードで
オンライン飲み会から離脱した。 終わり

08/08

突然、ピコンと通知があって、
オカンからのメッセージが表示された。
同時に矢印も現れて、
一人の女性を指し示す。
「あんた、さっきから
この子ばっかり見てるやん。
なになに、好きなん?」
修平は図星を指されて、絶句した。
「この子、ええよな。
私もこんな子にお嫁に来てほしいわ~。
そうや、ここはひとつ、
オカンが一肌脱いだろか?」

07/08

オカンは、本気で自分の
身体のことを心配してくれている。
それが伝わってきたからだ。
それに、オカンとコミュニケーションを
とるようになってから、自然と会話が増え、
逆にストレスの発散になっている
事実にも気がついた。
なんだかんだ、オカンの存在に
救われてるのかもしれないな……。
いやいや、と、そんな考えを
否定したくなったのは、
ある日、仲間うちで
オンライン飲み会をしていたときだ。

06/08

オンライン飲み会をしていても、
カメラを通して見てきているのか
「そろそろ飲むの、やめときや~」
などと言ってきたり、
無視しているとやはり画面に
「警告:飲みすぎやで」などと
出てくる始末だ。
「ほんと勘弁してくれよ……」
修平は何度もため息をついた。
しかし、そんな心境は
しだいに変化しはじめる。

05/08

特に面倒だったのが、
翌朝に会議がなかったりして、
修平が夜更かしを
しているようなときだった。
オカンは頻繁に、
こんな小言を言ってきた。
「はよ寝んと、身体に悪いで~」
無視をしても、オカンはつづける。
「修ちゃん、いつまで
起きてるつもりですか~?」
たまらずスピーカーをオフにするも、
ネットを介してパソコンやスマホに
干渉してきて、真っ赤な文字で
画面全体に「警告:寝なさい」
などと表示してくる。

04/08

どうなっているのかと尋ねると、
オカンは笑った。
「まあ、私はせっかちやからな」
しかし、Wi-Fi以外の機能はというと……
ハッキリ言って最悪だった。
とにかく、うるさいのだ。
日中の仕事のあいだや会議中は、
さすがに何も言わずに静かにしていた。
が、そうではないときは
ニュースやゴシップをネタにして、
やたらとしゃべりかけてきた。

03/08

いきなりのことに驚いていると、
オカンはつづけた。
「そないびっくりせんでもええやないの。
ほら、はよ名前」
「しゅ、修平です……」
「修平か。ほな、修ちゃんや。
修ちゃん、これからよろしゅうな」
その日から、オカンとの
暮らしがはじまった。
肝心のWi-Fi機能は申し分ないどころか、
これ以上ないほど素晴らしかった。
驚くほど超高速だったのだ。

02/08