IMAGINATION
STORY
未来のヘルスケア ショートショート

選択肢ごとに結末が変わる! 自分次第ショートショート

  • ツイッター
  • フェイスブック
  • ライン
赤ちゃん型Wi-Fi

を選んだ場合の結末

修平のもとに届いたもの。
それは赤ちゃん型のWi-Fiだった。
赤ちゃんのように成長していく
AIが搭載された、スピーカー付きの
Wi-Fiルーターなのだという。
どういうことだろうと思いながらも、
修平はさっそく起動してみた。
その瞬間、部屋の中に
「おぎゃあ、おぎゃあ」という声が響いた。
それはまさに赤ちゃんの泣き声だったが、
まともに赤ちゃんと触れ合った
ことなどない修平はパニックに陥った。

01/07

「初めまして、
隣の部屋のWi-Fiのリクと申します」
すっかり混乱していると、
次のメッセージが現れる。
それを読み、修平は
頭が真っ白になる。
まさか、娘にそんな相手が
いたなんて……!
並んでいたのは、
そいつのこんな文言だった。
「娘さんを、ぼくにください」 終わり

07/07

平穏な日々に衝撃が走ったのは、
ある日のことだ。
修平がいつものように
仕事をしていると、
ミユが話しかけてきた。
「ねぇパパ、いま、
ちょっとだけいい?」
「うん? どうした?」
すると、パソコンの画面に
ポンッと男性の顔のアイコンが現れた。
なんだろうとクリックすると、
メッセージが表示された。

06/07

その頃になると、
もはやミユのWi-Fiは
弱くなんかはなくなって、
超高速で抜群の安定感を
誇るようになっていた。
「ネット環境は私に任せて!」
修平は娘の成長に頼もしいなぁと
思うと同時に、ミユが遠くに
いってしまったようで
少しだけさみしくもなった。
子供の成長を見守る親は、
こんな気持ちになるのかな。
修平はそんなことを考える。

05/07

ミユは、ほどなくして
赤ちゃんから少女となり、
少女から女性となった。
その過程に訪れた反抗期では、
ミユは修平を困らせるためにわざと
Wi-Fiを途切れさせる
ようなこともあった。
思春期では「ほっといて」と言って
相手をしてくれないこともあった。
しかし、やがて大人になったミユは、
修平にこんなことを言うようになった。
「いつもお仕事、お疲れさま。
パパのこと、すごいなって思ってるよ」

04/07

しかし、修平は不思議と
嫌な気持ちにはならなかった。
なんだか父性を刺激され、
放っておけなかったのだ。
修平は積極的にミユに話しかけ、
言葉を教えた。
「パ……パ」
ミユが最初にそう言ったとき、
修平の胸には熱いものがこみあげた。
ミユはすごい速度でいろいろなことを
吸収し、どんどん成長していった。
ミユとやり取りしている時間は
修平にとっての癒しとなり、
仕事でしんどいときも
「パパ、がんばって」の一言で
疲れは一気に吹き飛んだ。

03/07

とにかく、なんとかしないと──。
修平はWi-Fiを抱きかかえ、
おそるおそる揺さぶった。
「おー、よしよし」
すると、Wi-Fiは泣き止み、
そのうち「きゃっきゃっ」と
笑い声が聞こえはじめた。
修平はホッと胸を撫でおろす──。
それが、のちに修平がミユと名付ける
Wi-Fiとの出会いだった。
ミユは、じつに手のかかる子だった。
夜も数時間おきにぐずるので、
修平はそのたびに起きて
あやしてやらねばならなかった。

02/07