サワイジェネリック・フィロソフィ 企業理念こそが成長の原動力

取締役 専務執行役員
戦略企画部長 兼 研究開発本部管掌
澤井 健造

「なによりも患者さんのために」は、なぜ生まれたのか

「なによりも患者さんのために」というスローガン自体は、何十年も前からありました。

それが、あらためて企業理念として定められたのが、2006年のことです。本社と研究所の機能を、現在の大阪市淀川区の新社屋に移して集約させたタイミングですね。

2006年といえば、世の中でジェネリック医薬品の立ち位置が変わってきたころで、当社は急激に大きくなり始めていました。そこで、今後さらに新しい人財が増えることもふまえ、社員の皆が同じ方向を向けるような指標が必要だ、となりました。そこで、あらためて企業理念とともに、その企業理念を実現するための行動基準を考えることになりました。

外部の方にお任せするのではなく、自分たちの手で作り上げるべきだと考えて、社内に企業理念の策定プロジェクトが立ち上がりました。プロジェクトチームは、各部署から集まったメンバーで構成され、私自身もメンバーとして立案に携わりました。「経営理念」「経営姿勢」「行動規範」についてメンバーで議論を重ね、そして、企業理念としてまとめ上げることができました。

企業理念と行動基準はこちらへ

こうしてできあがった企業理念をあらためて見たとき、私たちがどのようにして社会の役に立ち続けていくべきかがよくわかる、いいものができたなと感じました。ただ、なによりも大事なのは、それを社内にきちんと浸透させることです。ここから、どうやって企業理念を社内に浸透させていくかという新たな活動が始まりました。

企業理念を社内にどう浸透させたのか

企業理念を社内に根付かせるために、さまざまな取り組みを行ってきました。例えば、役員がキャラバンのような形で、企業理念にまつわる話を社員に話して回ったり、部署ごとに企業理念を毎朝唱和し、その際に社員が持ち回りで企業理念に関するスピーチをしたり。

また、「M1倶楽部活動」という取り組みも行っています。これは、「なによりも患者さんのために」を社員一人ひとりにより深く浸透させ、実践を促すために、日々の業務に落とし込んでいく活動です。チームでテーマを設け、そのテーマについて約1年間活動します。取り組んだ活動内容については、役員全員で採点し、優勝チームや上位入賞チームも決めています。各チームのそうした活動は、社内報でもレポートし、社員全員が共有できるような工夫も行ってきました。ちなみにM1とは“みんなで一番”の略で、「みんなで1番になろう!」という思いを込めたプロジェクトの名称です。

こうした普及活動をすることで、企業理念を自分ごととして理解できますし、これまでになかったような新しい取り組みもいろいろ生まれています。コストも手間暇もかかることですが、やる意義は大きいと感じています。

企業理念はどのように具現化されるのか

当然ですが、同じ会社でもポジションによって仕事内容は大きく変わります。でも、結局はどのポジションも、必ず患者さんに何らかの形で影響を与える仕事だと思うのです。だから各社員がそれぞれの立場から、“何が一番患者さんのためになるのか”を考えて実行していく。そのような形で企業理念は日々、具現化されていきます。

例えば、製品のパッケージデザインに関わる人であれば、「もし薬剤師さんがお薬を取り違えたら、患者さんが大きな不利益を被ってしまう。だからそうならないように、このデザインはこんなふうにしよう」と考えたり。工場の生産体制に関わる人なら、「ジェネリック医薬品を広く世に届けること自体が患者さんのためになる。だから安い価格を維持できるように、この部分の生産効率をこんなふうにして高めよう」と考えたり。

他にも、品質管理から情報提供、製品供給まであらゆるセクションで、同様のプロセスがとられています。

「どうすれば患者さんの役に立つのだろう?」
「患者さんが困らないようにするにはどうすればいいのだろう?」

これを仕事の行動基準とする。そうするからこそ、本質的に有用なアイデアや工夫、改善も生まれてくると思うのです。

最近はこうした文化がかなり社内に根付いてきたなと感じています。でも大切なのはその文化を継続させることですし、新しい人もどんどん入社してくるので、常に“伝え続けること”が大事だと考えています。

患者さんや社会への貢献は「責任」でもある

最近では、ジェネリック医薬品が世の中に広く受け入れられるようになり、当社の売上もおかげさまで十数年前より大きく伸びています。それは同時に、社会に与える影響も大きくなっているということなので、その責任の重さを感じています。

だからこそ、品質に関しても安定供給に関しても、より厳しい基準でやっていかなくてはいけません。CSR活動にも、より力を入れていく必要があります。日本のジェネリック医薬品をリードする企業として、自社のことだけではなく、ジェネリック業界全体のことも考えて取り組んでいかなくてはいけません。

そうしたことを実行していくには、われわれ社員にとって“苦しい、つらい”ことも少なからずあります。ジェネリック業界を代表してお叱りを受けることもあるかもしれません。でも、そこは自分たちの「責任」ととらえて日々取り組んでいかなくてはいけません。たとえ他の会社がやっていないことであっても、売上に直結しないことであっても、必要なことは随時やっていきます。

こうした考え方を根底で支えているのも、やはり「なによりも患者さんのために」という企業理念なのです。

なぜ「なによりも患者さんのために」なのか

幸いなことに、私たちが手がけるジェネリック医薬品事業は、そもそもが患者さんや社会の“役に立てる”事業です。当社の2019年の売上は、約1,800億円でしたが、ジェネリック医薬品は新薬(先発医薬品)のおおよそ2〜5割の価格ですので、先発医薬品が使われた場合に比べて、ざっと2,700億円の医療費節減に寄与したことになります。当社のジェネリック医薬品を患者さんにお届けすることで、医療保険を数千億円も圧縮できます。

つまり会社として売上を伸ばすこと自体が、“社会のため、ひいては患者さんのため”につながるのです。

当然ながら、ただ売上が増えればいいというものではありません。安心して使えて、使いやすく、期待されたとおりの効き目があり、いつでも安定供給されているお薬でなければ、本当に世の中の役に立っているとは言えません。加えて、低価格であることはジェネリック医薬品の根源的な使命です。

経営側とすれば、いくら良いものを作ったとしても、赤字続きで事業が続けられないというのは困った話です。工夫と努力で、バランスをとっていく必要があります。理想だけではうまくいきません。

ただ、私たちは人間ですので、つい楽をしようとしてしまったり、守りに入ろうとしてしまったり、各局面で見れば、ぶれてしまいそうになることもあります。ときには数字や売上を優先させて考えてしまうこともあるかもしれません。社員同士で意見がぶつかることもあります。

でもそんなときに「いや、ちょっと待てよ。一番大切なことはなんだろう?」とふと立ち返らせてくれるのが、「なによりも患者さんのために」という言葉なのです。ぶれそうになったり迷ったりしたときの大きな「指標」となってくれる。これがあることで、ピンチのときに踏んばれるし、ここぞというときにチャレンジできる。普通は「無理ですね」で終わってしまうところも、投げ出さずにもう一段がんばれる。

仕事をするうえで、自己満足でもときにはいいかもしれませんが、やはりそれではアウトプットに限界が生じます。自己満足ではなく、「人のために」という“他者満足”を前提としてこそ、生まれてくるアウトプットというものがあると思うのです。

あるべき道を選び、チャレンジし、成長し続ける。当社の企業理念は、単なる理想を語っているものではなく、事業そのものの原動力となってくれるもの、と考えています。

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