サワイジェネリック・フィロソフィ 包装設計とデザインのこだわり
包装も重要な“品質”だということ

製品情報部 表示デザイングループ合田 美知代

製品情報部 表示デザイングループ中山 かおり

製品情報部 表示デザイングループ安平 哲朗

生産統括部 包装技術グループ三上 大帆

生産統括部 包装技術グループ三木 陽平

医薬品の包装設計とはどんな仕事か

三上

私たち包装技術グループでは、お薬の包装を設計する仕事をしています。

ひとくちに包装といっても、薬を包んでいるプラスチックのシートから、それを入れるアルミ製の袋、そして紙の箱、さらには出荷する際のダンボール箱まで多岐にわたります。

設計する際に考えなくてはいけないのは、まずは国の法令や基準、また、製薬業界のルールに沿ったものであること。これが前提となります。同時に、お薬の品質が担保できるものであること。そのうえで患者さんの使いやすさや、医師・薬剤師の皆さまの取り扱いやすさ、さらには製造のしやすさ、製造コストの適切さといった部分を検討していきます。また、新製品の包装設計はもちろんですが、既に発売されている製品の包装の改良も行います。

安平

私たち表示デザイングループでは、包装技術グループが設計した資材にどのような表示を入れるかを決める仕事をしています。表示に関しても国の法令や基準、また、製薬業界の申し合わせがいろいろあるので、まずはそれを守ること。そのうえで患者さんや医療関係者の皆さまにとって見やすい、間違えにくい、使いやすい表示を考えていきます。

私たちは包装も医薬品の重要な品質ととらえていて、この後に紹介する事例のように、さまざまなアイデアや工夫をデザインに採り入れています。

具体的にどんな包装の工夫があるのか

三上

患者さんが使いやすいように包装設計を改善し、その結果、包装賞までいただけたのが、ある骨粗しょう症治療剤の事例です。

手の力が弱くて、従来型の錠剤を押し出すタイプでは扱いにくかった患者さんでも、容易に錠剤が取り出せる設計を採り入れました。設計するうえで着目したのが、食品に添付されているケチャップとマスタードの入れ物でした。真ん中からパキッと折ることで両方を同時に出すことのできるあのデザインです。

プラスチックのシートのポケットを蛇腹状にし、折り目にミシン目を入れ、簡単に折り曲げて錠剤を取り出せるようにしました。さらに、持つ位置がわかるように“へこみ”を入れたり、分別廃棄用にシートと台紙を切り離せるようにしたりと、他にもさまざまな工夫を盛り込んでいます。そのために試作品を何度も作り、改良を加えていきました。その甲斐もあって、世界的な包装コンテスト「WorldStar Packaging Awards」をはじめ、いくつもの包装賞をいただくことができました。

中山

よく似た名前の製品のパッケージに、取り違えを防止する注意喚起のデザインを加えた事例もあります。

ジェネリック医薬品の製品名は原則として、「有効成分の一般的名称(成分名)+剤形+含量+会社名(屋号等)」という一般名方式になっています。一般名については似ているものがたくさんありますので、薬剤師さんがお薬を取り出す際、もし取り違えてしまっては大変です。そこで、箱を開けた際にすぐ目に入る部分に「類似名あり」という表示を入れました。これは「日頃から注意喚起をいろいろしているけれど、慣れてくると注意の意識がどうしても薄れてしまう」という薬剤師さんの声を反映し、手の動きと視線の結びつきに着目したものです。

このデザインを導入後、保険薬局にアンケートを実施したところ、「とても助かっています」というポジティブな声が多く聞かれました。うれしい限りです。製品名が類似している他の製品でも、同じデザインを導入しました。

工夫の積み重ねで薬剤師さんの負担を減らす

安平

薬剤師さんからは「開封済みの箱があるのに、間違えて新しい箱を開けてしまうことがある」という声も聞かれたので、一度開封してフタを閉じると、「開封済」の表示が見えるようになるデザインも開発しました。

お薬の箱を捨てる際の、箱をつぶす負担を減らすものもあります。数箱であれば大きな負担にはなりませんが、保険薬局では1日に何十・何百という箱をつぶします。その際、従来型のはがして解体するタイプだと、続けて作業するうちに指が痛くなるという声を頻繁に聞いていました。そこで、お薬の箱に折り目を入れ、はがすことなくワンアクションで押しつぶせるようにしたのです。

合田

箱に製品名や製造番号・使用期限を表示したカードが、簡単に切り離せるようにしたものもあります。「調剤棚の棚札や在庫管理に使うために、箱から製品名や使用期限などをはさみで切り取って使っているのですが、とても手間がかかります」という薬剤師さんの声に応えたものです。カードの表と裏に製品名や製造番号・使用期限を表示し、手で切り離して、調剤棚のカードとしても在庫の管理用としても、使い分けられるようにしています。

安平

一つ一つはちょっとしたことではありますが、こうした工夫の積み重ねが、薬剤師さんの作業全体の負担を大きく減らすことにつながるのかなと思います。こうした工夫のなかには、当社独自のデザイン技術として、実用新案に登録されているものもあります。

三上

保険薬局や病院のなかには、透明性を確保するために、お薬を採用した理由をWebサイトなどで公開しているところがあります。そこに「他の製品とはまったく違うデザインコンセプトで、非常に使いやすい」といったコメントが書かれているのを見ると、やってよかったなと思う瞬間です。

どう改善の種を見つけるのか、どう患者さんの声を聞くのか

安平

こうした工夫は、保険薬局などの医療現場の声がきっかけになる場合と、社内から生み出される場合の両方があります。

中山

普通は、医療情報担当者であるMR(Medical Representative)が医療関係者の皆さまから要望をうかがうのかもしれません。しかし当社は、私たち表示デザイン担当者もMRに同行し、直接お話をお聞きするようにしています。私たちがいることで、踏み込んだご意見やご要望を話していただけることもありますので、より医療現場のニーズに沿った包装設計やデザインをするには大切な取り組みなのではないでしょうか。こうしたフットワークの軽さは、当社の強みの一つでもあります。

また、社内では個人で頭をひねらせるだけではなく、大勢でディスカッションをしたり、既存の技術を組み合わせて新しいものを生んだり、ときには、情報収集などの時間を設けて、凝り固まった状態を打破したり。ありとあらゆる形でアイデアを生み出しています。

三上

スーパーマーケットなどで販売されている品物の包装がヒントになることもあります。とくに食品は包装技術がとても進んでいるので、売り場に行くと長い間、眺めてしまいます。そういう点で、スーパーマーケットはパラダイスです(笑)。

中山

私たちがこの仕事で大切にしていることは、改善内容の精査です。一箇所の要望がすべての医療機関の要望とは限らないので、本当に改善すべきかをきちんと判断することです。そのご要望はどのくらい普遍性があるのか、改善した結果どう変わるのか、逆に変えるべきではない部分はどこなのかなどを検討し、必要に応じてあらためて医療関係者の皆さまにお話を聞くこともあります。

三木

そもそも「見やすさ」や「使いやすさ」といったものは数値化できないので、その改善にどれくらい価値があるのかを測るのは難しいのです。場合によっては改善のつもりが、以前の仕様で満足していた方にとっての“改悪”になる可能性もあります。だからこそ一つの意見だけを見るのではなく、どこがどんなふうに使いにくいのか、そうした声がどれくらいあがっているのか、改善するのにどれくらいコストがかかるのか、といった要素を複合的にとらえて判断するようにしています。

すべては企業理念「なによりも患者さんのために」につながる

安平

包装設計とデザインの仕事には、患者さんがお薬を使いやすくなるものもあれば、医療関係者の皆さまの作業を助けるものもあります。一見、患者さんのお役に立てるのは前者で、後者は私たちのお薬を医療機関に選んでいただくための工夫に思えるかもしれません。当然その要素もありますが、医療関係者の皆さまの作業を助けることで負担が軽くなると、そのぶんの時間や意識を患者さんに向けていただくことができ、結果として患者さんのお役に立てると考えています。

中山

そうですね。具体的に言うと、お薬を棚に並べる、取り出す、在庫を管理する、追加発注する、箱をつぶす。そういったさまざまな作業の負担、つまり“物に向き合う”負担が減ることで、医療関係者の皆さまは患者さんの話を聞いたり、患者さんに服薬指導をしたり、一番大切な仕事である“患者さんに向き合う”ことに、より注力できます。物に向き合う負担が減ることで、間違いも起きにくくなると思っています。

合田

やはり、根底には常に、企業理念の「なによりも患者さんのために」という想いがあります。それがあるからこそ、「なんとかもう一歩、工夫できないだろうか?」と踏み込めたり、大変なときにがんばれたりするんだと思います。

中山

患者さんがよりお薬を使いやすく、より健やかに暮らせるように、包装の工夫という面から直接的にも間接的にもお手伝いする。それが私たちの仕事だと思います。

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