差がつく医療のハナシ

今後も増加するとされる「認知症」と医療費

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  • 樽井(だるい)さん

    最近、街中どこに行っても、高齢者の方を見かけるような気がします。日本は「高齢化」が進んでいるといわれていますが、実際のところはどうなのでしょうか。
  • 健谷(すこや)課長

    確かに日本の高齢化はかなりの勢いで進んでおり、日本の全人口にしめる高齢者の割合は、年々増えています。それと比例して、実は「高齢者に多い病気」も増えているのです。

超高齢社会の「今」と「これから」

日本は現在、世界でも類を見ない勢いで高齢化が進んでいます。「高齢化」にはいくつかの段階がありますが、全人口に対する65歳以上の人口の割合が、7%以上で高齢化社会、14%以上で高齢社会、21%以上で超高齢社会と呼ばれます。日本は、2010年頃に高齢化率23%を超え、「超高齢社会」となりました。日本の高齢化は今後も加速し、2025年には高齢化率30%以上、2040年には高齢化率35%以上になると推計されています(図1)。

図1 高齢化の推移と将来推計

65歳以上の人口でみると、2017年の時点では3,515万人でしたが、2025年には3,677万人、2040年には3,920万人に達すると考えられています。

高齢化の進行とともに考える「認知症」

高齢になるほど発症リスクが高まる病気に「認知症」があります。実際の認知症高齢者の推移をみると、2012年時点では462万人(有病率15.0%)で、これは高齢者7人に1人の割合ということになります。高齢化の進行と比例して認知症高齢者数も増加しますので、2025年にはおよそ700万人(高齢者5人に1人)、2060年には850万人(高齢者4人に1人)になると推計されています。

図2 高齢人口にしめる認知症高齢者

認知症にはもう一つ、その前段階ともいえる「MCI:軽度認知障害」とされる人たちがいます。厚生労働省の研究によると、2012年の時点でMCIの人は400万人以上と推計されており、MCIから認知症へと進行する人や、まだ診断を受けていない人がいることを考慮すると、実際の認知症高齢者数はさらに増えていくと推測されています。

健谷課長の
「ここでチェック!」
自分の身内や自分自身も、いつ認知症になるか分かりません。その時のためにも、認知症についてより知識を深めておくことが必要なのです。

自分の身内が認知症!?何をすれば良い?

認知症の治療は一般的に、認知機能の改善とQOL(Quality Of Life=生活の質)の向上を目的として、薬物療法と非薬物療法を組み合わせて行われます。中には手術で症状が改善する認知症もあります。
薬物療法は、認知機能障害の進行を遅らせることが期待でき、その人らしく過ごすことや、家族や介護をしている人の負担を軽くすることができるという利点があります。
一方の非薬物療法とは、生活能力を高めたり、脳を活性化したり、残っている機能をできるだけ長く維持するために行う治療です。リハビリテーションや計算や写字、音楽や記憶の刺激などが該当します。

2015年に行われたある研究によると、1か月あたりの認知症の医療費は、外来ではおよそ4万円、入院では34万円が必要となり、認知症高齢者に対する1年間の在宅介護費用はおよそ220万円かかると推計されています。

認知症の治療薬や治療法については現在も多くの研究が行われていますが、残念ながら、すでに失ってしまった認知機能や記憶能力を元どおりにする治療法は、まだ見つかっていません。認知症であることが分かった時点で治療を始めることで、それ以上進行することを抑えることが必要です。つまり、早期発見・早期治療で、その人らしい生活を長く送ることができます。家族や周りの人たちも生活を大きく変化させることなく、「その人らしい生活」を支えていくことができるのです。

  • 自分の親や自分自身も、いつか認知症になるかもしれません。その時にならないと実感はわかないのかもしれませんが、いざという時、慌てないように「あれ?」という変化に気付けるようにしたいと思います。
  • そう、その意識が今回の差がつくポイント!
    これで明日もすこやか、すこやか。

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