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睡眠・休息・メンタルケア

熱帯夜でもす~っと眠りにつくワザ

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監修/白濱龍太郎先生(RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック院長、医学博士)

夏になると、暑くて寝つきが悪くなるんだよね。猛暑日こそ、ぐっすり眠って疲れを取りたいのに…。何かいい方法ってないの?

夏の睡眠は厄介

エアコンがほぼ完備された現代でも、夏になると寝苦しさを感じるという人は多いのではないでしょうか。暑さや湿気で寝つきにくい、エアコンをつけて寝てもタイマーが切れると起きてしまうなど、夏の睡眠はなかなか厄介。その解決には、こうした暑さにまつわるトラブルに対処するのはもちろん、そもそも多くの人が抱えている睡眠の質の低下に、きちんと向き合うことが大切です。睡眠のメカニズムを知り、暑い夏でも快適に入眠できるようにしましょう。

「ぐっすり眠る」とは?

人の睡眠には、大きく分けて浅い「レム睡眠」と深い「ノンレム睡眠」の2つがあります。体は休んでいるものの脳は活発に動いているのがレム睡眠、脳も体も深い休息状態にあるのがノンレム睡眠です。ノンレム睡眠はさらに3段階に分かれ、このうちの3段階目が「深睡眠」と呼ばれる、最も深い眠りです。
睡眠時間は、30代以上であれば6時間半から7時間半程度あると理想的ですが、そのなかでも最も大事なのが最初の4時間で、この4時間の間に2回以上深睡眠が訪れると、大半の疲れが取れるといわれています。深睡眠をとるためには、自律神経の状態やホルモンバランスが大切であり、入眠に向けてその条件を整えていく必要があります。

朝日を浴びないと眠れない!?

快適な入眠には、自然な眠りを誘う働きがある「メラトニン」というホルモンがしっかり分泌されることが不可欠です。メラトニンは強い光によって分泌が抑制されるため、昼間は少なく、日没以降に増えます。
このメラトニンは「セロトニン」という別のホルモンが原料になって作られます。そして、セロトニンは、朝日を浴びることで分泌されるという性質があります。
つまり、よい眠りのためには、きちんと朝日を浴びることが大切なのです。朝日を浴びると、セロトニンが分泌され、そこからメラトニンが作られ、メラトニンの働きで日没以降徐々に眠くなり、すんなり入眠できるという、良い睡眠サイクルになります。朝起きたらすぐにカーテンを開けて、しっかり朝日を浴びましょう。
また、休日に昼過ぎまで寝てしまうと、この睡眠サイクルが乱れて夜寝つけなくなり、月曜の朝からグッタリということに。休日でも、寝坊するのはいつもの起床時間より1時間プラスくらいまでにし、睡眠ホルモンがリズミカルに分泌されるようにしましょう。

ストレスが自律神経に悪影響

快適に入眠するには「自律神経」のバランスを整えることも大切です。自律神経には2つあり、「交感神経」は仕事時や緊張時、ストレスを受けたときなどに働きます。もうひとつが「副交感神経」で、リラックス時や睡眠中に働きます。この2つがシーソーのように優位になったり、働かなくなったりして、バランスをとっています。快適な入眠が訪れるのは、副交感神経が優位になったときです。
ところが、ハードワークや満員電車など、現代は常にストレスフル。スマホの普及で発達した情報社会も、便利さの裏で大きなストレスをもたらしました。寝る直前まで、PCやスマホを眺めているという人も多いことでしょう。こうした状況では常に交感神経が優位になり、なかなか入眠できないため、睡眠の質が落ちている人が増えているのです。

あなたの「睡眠充実度」は?

あなたは健康的なよい睡眠がとれているでしょうか。次の項目の中で、その状況になったら「うとうとする」と思うものにチェックを入れましょう。

  • 座って新聞や本などを読んでいるとき
  • 座ってテレビを見ているとき
  • 会議、映画館、劇場などで静かに座っているとき
  • 乗客として、1時間以上続けて自動車に乗っているとき
  • 座って人と話しているとき
  • 座って書類や手紙などを書いているとき

チェックがついた項目が多ければ多いほど、いい眠りが取れていない可能性が。次のような点に注意して快適な入眠を心がけ、良質な睡眠を取るようにしましょう。

夜は浴びる光を調節する

夕方以降、強い光を浴び続けることは、快適な入眠の妨げになります。特に、蛍光灯などの青白い光はメラトニンを抑制する作用が強いため、夜は室内の照明を白熱灯など、温かい色の光に変えるとよいでしょう。間接照明や足下照明などを利用するのもオススメです。
また、PCやスマホから出るブルーライトにもメラトニンを抑制する働きがあるので、寝る1時間前には見るのをやめて。また、ブルーライトを抑えたり、カットする機能を使い、できるだけその光を浴びないようにしましょう。

朝食で「トリプトファン」をとる

心地よい眠りをもたらしてくれるメラトニンの原料はセロトニンですが、そのセロトニンの原料となるのが「トリプトファン」というアミノ酸です。
トリプトファンは大豆製品や、肉、魚、卵、乳製品などに含まれ、これを朝食時にしっかりとることで、14~16時間後、つまり眠る頃のタイミングに、たくさんのメラトニンが生成されるようになるのです。
食事は三食規則正しく食べ、リズムをつけることがよい睡眠につながります。そしてメラトニン生成の面からは、特に朝ごはんでトリプトファンを含む食材を中心に、バランスのとれた食事をすることが大切だといえます。

夏でも湯船に浸かる

夏は、「暑いから」とシャワーだけで済ませる人も多いようですが、快適な入眠のためには、湯船に浸かることが大切です。というのも、快適な入眠には、「深部体温」のリズムを整えることも重要だからです。
深部体温とは内臓など体の深部の温度のこと。通常、起床から11時間後くらいに最も高くなって、その後下がり、下がるときに眠気が訪れるようになっています。
ところが、現代はストレスなどにより、深部体温が「上がって下がる」リズムを刻めていない人がたくさんいます。
そこで、しっかり湯船に浸かることで深部体温を上げようというわけです。一度上げることでリズムがつくりやすくなり、快適に入眠できるようになります。
ただし、熱すぎる湯に浸かると交感神経が優位になり、寝つきづらくなってしまうので、40℃程度までのぬるめのお湯に10~15分程度を目安にしましょう。また、寝るときにタイミングよく体温が下がるようにするために、入浴は寝る1時間半から2時間前くらいまでに済ませるとよいでしょう。

夕方以降はうたた寝しない

帰りの電車内や、帰宅後にテレビの前などでうたた寝してしまうと、夜の睡眠の質は落ちてしまいます。というのも、眠気というのはコップにたまった水をぶちまけるように、一気にこぼしたときが一番ぐっすり眠れるからです。
一方で、昼過ぎまでのうたた寝は、夜の睡眠にさほど影響しません。夕方以降のうたた寝を防止するためにも、昼寝はオススメ。ただし、昼寝をするのは遅くても午後3時までとし、20分未満にとどめるようにしましょう。

エアコンを上手に使う

就寝中のエアコンはタイマーを使っている人も多いようですが、タイマーが切れた瞬間に暑くて起きてしまうという声もよく聞きます。すると、当然睡眠の質は落ち、疲れも取れません。あまりに暑い時期は、一晩中エアコンを使っても。
ただし、夜間は基本的に深部体温が下がるので、冷やしすぎるのはNG。設定温度は27~28℃程度を目安にし、風が直接当たらないようにしましょう。扇風機で、エアコンの冷風を室内全体に巡らせるなどの工夫を取り入れてください。

よく眠るためにできることって、こんなにあるのね。寝る前のスマホは控えて、しっかりお風呂に浸かろうっと。

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