INTERVIEW

医師に聞く。
SaluDiの使い方

生涯の健康管理にも、適切かつスムーズな診療にも。
「医師に教わるPHR管理アプリの活用術」

個人の健康データをスマートフォンなどに記録し活用する、「PHR(Personal Health Record)」が近年広まっています。医療機関と連携し、オンライン診療にも対応するアプリなど、活用の幅も拡大中です。実際にPHR管理アプリを導入し、患者さんの診療に活用されている「かんだ内科クリニック」院長の觀田学先生に、PHR管理アプリの特徴やメリットなどについてお話を伺いました。

觀田学(かんだがく)先生
觀田かんだ がく先生
かんだ内科クリニック(兵庫県たつの市)院長

プロフィール

神戸大学医学部附属病院循環器内科、姫路循環器病センター(現・兵庫県立はりま姫路総合医療センター)循環器内科、赤穂市民病院循環器科と、心臓血管疾患の専門施設で不整脈のカテーテル治療やペースメーカーなどを用いた心不全治療を専門に手がけた後、2019年に兵庫県たつの市に『かんだ内科クリニック』を開院。患者さんやその家族の不安や困っていることをじっくり聞いたうえで、最新の医療知識に基づく治療を提案している。

生活習慣病の予防や早期発見のためには、毎日の血圧や体重などの「記録」が重要

体重や血圧といった日々のバイタルデータを記録し、自分の体の状態を常に知っておくと、体のちょっとした変化にも気づきやすくなることから、健康管理に役立つといわれています。

例えば、毎日記録している人も少なくないのが血圧です。血圧が高い状態が続くと血管に負担がかかり、動脈硬化が進行する要因になります。しかし自覚症状がほとんどない場合が多く、そのまま放置することで心不全や狭心症、心筋梗塞といった心臓や血管の病気をはじめとする、さまざまな生活習慣病のリスクが高まります。

高血圧や心臓血管疾患の患者さんの診療を多く手がける「かんだ内科クリニック」院長の觀田学先生は、次のように話しておられます。

「生活習慣病の早期発見・早期治療のためには、年に1度の健康診断ももちろん大切です。ただし、例えば血圧に関していえば、その1回の数値が高いからといってすぐに高血圧だと判断できるわけではありません。健康診断の時は緊張などから普段より血圧が高くなってしまう傾向が多く見られる、といったことがあるからです。
血圧診療において特に重視しているのは、起床後1時間以内に家庭で測定する早朝血圧です。この数値を把握するためには、患者さん自身が毎日測定し、記録することが必要になります。
すでに手帳やノートに手書きで記録することが習慣になっている人の話によると、何冊もたまると保存や管理がとにかく大変だといいます。過去の記録を調べたい時に手間がかかったり、結局見つけることができなかったりする場合も。また万が一、手帳やノートをなくしてしまうと、それまでの記録を失ってしまうという危うさもあります。」(觀田先生)

生涯にわたり自分の健康管理に役立つPHR管理アプリ

最近は、製薬会社や医療機器メーカーなどが展開するPHR管理アプリがあります。

「スマートフォンにアプリをダウンロードするだけで日々のバイタルデータを簡単に記録できるのはもちろん、デジタル情報として生涯にわたりデータを保存・管理していくことが可能です。実際、アプリを活用されている方の多くが、自分の健康に関するデータが長期間にわたって残り続けること、またいつでも手軽に過去のデータにさかのぼることができるという点に大きなメリットを感じているようです。」(觀田先生)

アプリで管理できるデータの例

アプリで管理できるデータの例 アプリで管理できるデータの例
(沢井製薬 PHR 管理アプリ「SaluDi(サルディ)」の例)

こうしたさまざまなデータを一元管理することで、高血圧や糖尿病などの生活習慣病の治療を受けている人にとって日々の体調確認や服薬情報の管理に役立つのはもちろん、今のところ特に体調に問題のない人にとっても健康意識を高め、病気の早期発見や予防につなげることが期待できます。

「自分の体の状態を数値化して知るということは、生活習慣病の治療および予防のどちらにおいても有益です。毎日記録し続けることで、病気の発症や重症化を食い止めるきっかけになるなど、期待以上の結果が得られる可能性があると考えています。」(觀田先生)

オンライン診療に対応するアプリも増加。医師とのコミュニケーションもスムーズに

また、医療機関と連携し、オンライン診療に対応しているアプリも増えています。オンライン診療に対応した医療機関コードを入力・連携設定する必要はありますが、特別な申請手続きや申し込みが必要のないアプリもあり、利用のしやすさも高まっています。

「患者さんがアプリに入力したデータは、自動的にサーバーへ送信・保存され、連携している医療機関と共有することができます。医師はあらかじめ患者さんのデータを確認することができるので、診療がスムーズに進みやすいというのも利点の1つ。早期発見・早期治療につなげることが期待できます。」(觀田先生)

觀田先生のクリニックでは110人を超える患者さんが毎日の血圧の記録にこのアプリを利用しているそうです。(2022年6月時点)

「アプリを導入するまでは血圧手帳に記録してもらっていましたが、普段からスマートフォンを使い慣れている患者さんにとってアプリは身近な存在。興味を持って毎日の記録に取り組まれている患者さんが多く、継続するモチベーションも高まっているようです。
受診時には『自分のデータ、先生のところにちゃんと届いていますか?』と患者さんのほうから問いかけてくるなど、診療に対してもより主体性が増している印象があります。」(觀田先生)

週単位、月単位での平均値をアプリが算出。治療や生活改善の目標も立てやすく

また、「血圧は時間帯やその日の体調などによって変動が大きいものなので、数日間の数値を見ただけでは血圧が高いかどうかを正確に判断することはできません。」と觀田先生。

「そこで大切なのが、週単位、月単位での平均値を自分で知っておくことです。診療の際にも、医師が患者さんの1カ月分などの平均値を知ることで治療目標を立てやすくなります。
一方、血圧手帳はその都度、測定した数値を書き込むだけという使い方が一般的で、平均値までご自身で計算している患者さんはごくわずかです。
また、アプリの中には、朝と夜、あるいはその他の時間の平均値を自動的に算出して記録できるものがあります。知りたいことが一目瞭然ということもあり、当院においても特に重宝している機能の1つです。」(觀田先生)

血圧以外にも、体重や血糖値などの平均値を自動的に算出することが可能です。標準体重や血糖値の正常値と比べてどうなのか、過去の平均値からどのように変化しているのかを客観的に知ることができます。食事や運動といった生活の改善ポイントもつかみやすくなるでしょう。

簡単に入力できるので続けやすい、無料で使えるアプリも多数

「PHR管理アプリに興味はあるけれど、有料なのではないか」と不安に思う人もいるかもしれませんが、無料のアプリも多くリリースされています。

またPHRに限らないことですが、アプリをあまり使い慣れていないと、「何となく難しそう」というイメージから敬遠してしまう人もいるでしょう。

「患者さんの中にもやはり『難しいのはいや』とおっしゃる方がいますが、使ってみると実はとても簡単にデータを入力できることが分かり、楽しくなるようです。まずはアプリをスマートフォンにダウンロードして、1つでも2つでもデータを入れることから始めてみるとよいでしょう。使っているうちにだんだん慣れてくると思います。
アプリを通じて自分の体調や健康状態を毎日チェックする習慣が身につくと、もっと数値を良くしていこうというように気持ちも前向きになっていく方が多いようです。ぜひご自身の健康管理に役立てていきましょう。」(觀田先生)