※2023年8月31日~2023年10月27日に日経電子版広告特集にて掲載。
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「良薬は口に良し」を当たり前に
最先端技術で薬に付加価値を
ジェネリック医薬品のリーディングカンパニーである沢井製薬は独自の製剤技術を「SAWAI HARMOTECH®(サワイハーモテック)」と総称し、飲みやすく、扱いやすい薬の開発に注力している。「良薬は口に良し」が当たり前の未来を目指し、日々技術開発に挑む社員の姿を追うインタビューシリーズ。第1回はプロジェクト誕生のきっかけとそこに託された思いに迫る。
錠剤をより小さく、飲みやすさ追求
錠剤をより小さく、
飲みやすさ追求
「もっと小さく、もっと飲みやすく」――。ジェネリック医薬品を製造する沢井製薬は成分や効き目、安全性は新薬同等に保ちつつも独自の製剤技術で薬に新たな価値を与え、患者のニーズに応える薬づくりを追求してきた。新大阪駅からほど近い本社内には研究施設もあり、各部署が緊密に連携を取りながら技術開発に取り組んでいる。
ジェネリック医薬品の開発では、新薬の開発時にはなかった新しい製剤技術を導入することができる。各ジェネリックメーカーは独自の技術で薬の形状や色、味などを改良することで患者にとっては苦みを抑えるなど飲みやすい薬、薬剤師など医療関係者にとっては調剤や管理がしやすい薬の創出を競う。沢井製薬はこれまでに70件の特許を取得しており、うち53件が製剤技術に関連している(2023年8月現在)。
同じでなければいけないところ
- ① 有効成分の種類・量
- ② 用法・用量
- ③ 効能・効果
※新薬が効能追加を行っている場合など、
異なる場合があります。
変えてもいいところ
- お薬の形状、色、味、添加剤 など
※厚生労働省の認可済みリストより使用。
これらの特許技術のうち効率的な製造技術や飲みづらさを緩和する製剤技術6点を選び、「製剤でハーモニーを生み出す」意味を込めて「SAWAI HARMOTECH®(サワイハーモテック)」と総称。各技術にも親しみやすいよう名前を付け、認知度向上を目指すサワイハーモテックプロジェクトを展開している。
プロジェクトのきっかけは給湯室
同プロジェクトを主導するのは沢井製薬製剤研究部の伊豆井航さん。大学で薬物・遺伝子送達(ドラッグ・デリバリー・システム=DDS)を学んだ後、同社に入社。以来、製剤研究部で主に錠剤やカプセル等の経口固形製剤の研究開発に注力している。
開発した技術を特許出願し、自社の知的財産として保護するなど、無形の価値・資産を保護・権利化するのが知的財産部だ。メンバーの一人、知的財産部の柳慎一郎さんは薬学部出身。製剤研究部が得た知見やデータを法律的な観点から評価、判断。外部の弁護士や弁理士との橋渡し役になるなど重要な役割を果たす。薬学の知識はもちろん特許法など法律に関する知識も求められる難度の高い部署だ。
プロジェクト誕生は伊豆井さんと柳さんが社内の給湯室で交わした会話がきっかけだった。
共に同じフロアに勤務する2人は日ごろから業務で協力し合う関係にあった。そのときも製剤技術に名称を付ける作業を共同で進めていた。ただ柳さんには「個別にネーミングしても広く認知してもらうのは難しい」との懸念があった。
ある日、給湯室で顔を合わせた際に柳さんがちょっとした相談のつもりで「複数の特許技術をまとめてブランド化するのはどうか」と伊豆井さんに持ち掛けたところ、「やってみよう」と即断。その場でコーポレートコミュニケーション部に掛け合った。新型コロナウイルスの影響下でも、関係部署を巻き込んでプロジェクトを進め、SAWAI HARMOTECH®と各技術名の商標登録を完了。22年に正式に始動した。
飲み慣れた薬の裏に最先端技術
サワイハーモテックは ①核粒子製造技術 ②OD(口腔=こうくう=内崩壊)錠製造技術 ③フィルムコーティング技術――の3つの製造技術カテゴリーで構成している。
※OD錠:口の中に入れるとラムネ菓子のように崩れて溶ける錠剤。抗アレルギー薬や糖尿病薬などで使われ、場所を選ばずに水なしで服用できる。
核粒子製造技術は薬の有効成分を含んだ粒子を、熱や少量の水などを使って製造する技術で「MALCORE®(マルコア)」「QALCORE®(カルコア)」「DRACORE®(ドラコア)」の3技術がある。錠剤をより小さくしたり、より短時間で製造できたりするのが特徴だ。
OD錠製造技術「SARAMEL®(サラメル)」は独自の添加剤を使うことで、少量の水分で溶けながらも湿度に強く、高い錠剤強度を実現。医療現場では取り扱いやすく、水がなくても飲める薬で力を発揮する。
フィルムコーティング技術は水にぬれると表面がゲル状になって滑り性が高まり、飲み込みやすくなる技術「THRUCOAT®(スルーコート)」と、コーティングで優れた遮光性と強度(耐摩損性)を持たせつつもさらっと溶ける技術「SARACOAT®(サラコート)」の2つだ。スルーコートによって加齢に伴い飲み込む力が落ちた人や飲み込むことが苦手な人でも薬を楽に服用できるように工夫している。一方、サラコートは従来コーティングが難しかったOD錠でもコーティングが可能になり、今までよりも保管や取り扱いが容易になる。
伊豆井さんは「普段何気なく口にしている飲み薬は最先端技術の塊で、飲みやすさや扱いやすさなど様々な知恵や工夫が凝らされていることを知ってほしい」と力を込める。サワイハーモテックを確かな技術で作られているという安心・信頼のブランドとして確立すること、また、医療関係者には価格だけでなく価値で選んでもらうことが願いだ。
知財活用し、将来は他業種と協業も
「製薬業界は特許を最もビジネスに活用している業界の一つ」と話す柳さんは将来の目標を問われ、「我々には魅力ある知財がたくさんある。例えばその中の技術を核に他分野の企業と協業し、革新的な製品を創り出すような取り組みも提案したい」と意気込む。
ジェネリック医薬品はメーカーごとの特徴を認識されづらく、もどかしさを感じることもあるという伊豆井さん。それまで大きな錠剤を服用していた患者がサワイハーモテックを活用し小型化した薬に切り替えたことで「飲むのがとても楽になった」といった声を薬剤師を通じて聞き、「我々の技術が社会に貢献していると実感した」という。今後も「MR(医療情報担当者)との情報交換を通じて患者さんや薬剤師さんの困りごとやニーズを把握し、より飲みやすく扱いやすい薬づくりへ製剤技術を磨いていきたい」と語る。
サワイハーモテックプロジェクトを通し、「良薬は口に良し」が当たり前の未来を目指す沢井製薬。次回は技術開発の現場に迫る。