サワイのDNA - 社員インタビュー 医薬品情報の提供
“どんなときでも”情報を届けられることの意味

医薬品情報センター河村 晶子

営業統括部 営業企画グループ柿木 充史

医薬品の情報提供にはどんな意味があるのか?

河村

医薬品の情報提供といっても、皆さまにはピンとこないかもしれませんね。

かんたんに言うと、私たち沢井製薬のお薬の特徴や使い方などの正しい情報を医師・薬剤師の先生を通じて、患者さんに届けて知っていただくことです。

情報をお届けする窓口は、大きく分けて3つあります。1つ目は、医療機関を訪問して医薬品の情報提供を担うMR(Medical Representative:医薬情報担当者)、2つ目は、電話やFAX・メールで直接、医療関係者の皆さまとやり取りをするお問い合わせ窓口、そして3つ目は、Webサイトです。私はその2つ目のお問い合わせ窓口の「医薬品情報センター」を担当しています。

柿木

私は、このような窓口でどのような情報提供を行うのか、総合的に検討する業務に就いています。

河村

なぜこうした情報提供が必要かというと、ひとえにお薬の効果と副作用について正しく理解して、使用していただくためです。実際に、医師や薬剤師の先生からのお問い合わせで多いのは、飲み合わせや、副作用などの安全性、また、お薬自体の特徴などがあります。そして、患者さんへの説明方法について相談を受けることもあります。

柿木

特にお薬の「一包化」に関するお問い合わせは多いように感じます。一包化とは、朝・昼・夕に飲むそれぞれのお薬を、1回分ずつ1袋にパッキングして、患者さんが間違えずに飲みやすくすることです。その際には、薬剤師の先生が、一度お薬を包装シートから出すことになるので、そのことでお薬の品質は保たれるのかとか、錠剤を粉状にする場合、砕いても大丈夫か、また、このお薬とこのお薬は飲み合わせても大丈夫かといったお問い合わせが入ります。

お薬によっては包装シートから出すことで、湿度などの影響を受けるものもありますので、そうした情報をきちんと伝えるようにしています。

その先には、必ず患者さんにつながっている

河村

患者さんは、医師や薬剤師の先生を通してお薬の情報を受け取ります。ですから医師や薬剤師の先生にお薬の特性や正しい使い方をきちんと伝えて理解していただくことで、患者さんの不安な気持ちを払拭できたり、安心して使用していただくことができると考えています。そこが医薬品の情報提供のなにより大きな役割だと思っています。

柿木

特に患者さんが不安を覚えるのが、お薬の副作用だと思います。中でも抗がん剤の場合、副作用が出て体調が悪くなってしまい、怖くなって服用をやめてしまうというケースが少なくありません。でも本来は継続して使ってこそ意味があります。

私たちは副作用についての情報提供も重要であると考えて、情報提供を行っています。例えば、「副作用としてこのくらいの時期にこのような症状が出る可能性があります」といった情報を正しく提供することで、服薬指導の際に薬剤師の先生から患者さんにきちんと伝えていただくようにしています。患者さんには事前にそうした情報を知っていただくことで、万が一副作用が起こっても想定していた範囲ということで、お薬を継続して服用していただきやすくなります。実際にそういったデータも出ているのです。

私たちが情報を伝える相手は、直接的には医療関係者の皆さまが多いのですが、その先にはお薬を使っていただく患者さんが常にいらっしゃいます。まさに私たちが企業理念に掲げる「なによりも患者さんのために」というとおり、情報提供を通して患者さんの「健康、喜び、幸せ」に働きかけることができる。だからこそ医療関係者の皆さまが必要とする情報を正確に、迅速に届けることは、とても重要だと考えています。

なぜ「24時間365日」にこだわるのか

河村

私が在籍している「医療品情報センター」は、24時間365日開設しており、当社の情報提供体制の中でも大きな強みとなっています。24時間365日というのはジェネリック医薬品メーカーの中でも珍しいです。また、応対するコミュニケーターが全員、専門知識に特化した薬剤師資格を持っているというところも特徴です。

私たちが掲げているスローガンは、「さすがサワイといわれる応対」です。医療関係者の皆さまや患者さんのお役に立てるように、すぐにつながることや迅速な応対として、保留時間は1分以内。その場での回答率は90%以上ということを基本としています。そして、会社の代表であるということを常に自覚し、相手の立場を尊重した丁寧な応対を心がけています。

毎月3,000〜4,000件ほどのお問い合わせを受けており、コミュニケーター1人あたりの1日の対応件数は、約30件ほどです。医師・薬剤師の先生だけではなく、看護師の方や、ときには臨床検査技師の方からかかってくることもありますので、ひとことで医療従事者といってもいろんな目線があります。お問い合わせ内容の幅は広く、求められている回答や知識の深さもさまざまですので、相談者の立場に立つことで改めて気づき、解決することができます。例えば、添加剤などの詳細な内容は、持ち合わせている情報だけでは解決せず、他の関連部署や工場の協力を得ながら回答する場合もあります。

なぜ24時間開設しているのかというと、ひとことで言えば「その先に必ず、必要とする人がいるから」です。ご存じのとおり、病院には入院されている患者さんもいますし、救急で運ばれてくる方もいますので、医療現場には休みがなく、24時間365日体制で動いています。また、今は在宅医療の取り組みが年々増えてきていて、お薬の情報が必要とされる時間帯も以前と比べて長くなってきています。保険薬局も、24時間体制を整えているところが増えてきていますよね。こうした傾向は今後もっと進むのではないでしょうか。

だからこそ、そうした医療関係者の皆さまの要望に真摯に耳を傾けて、応えていきたいと思っています。必要としている方々に対して誠実に寄り添うことが、その先にいる患者さんにもつながることになる、と信じています。

柿木

お問い合わせというのは、多くは疑問や不安を覚えたときにするものだと思います。そのようなときに常につながる存在があること。どんなときでも薬剤師の資格を持つコミュニケーターが応対してくれること。それにより、医療に携わる方々が大きな安心感を持てると思うのです。

河村

ときには「これから手術でこの薬剤を投与するのですが、こういう場合はどうですか?」という緊急性の高いお問い合わせが舞い込むこともあります。そうした要望に対応できることも、24時間対応の強みだと思います。

また、お問い合わせの情報はすべて、MRにも自動でメールが送信され、瞬時に共有されます。だからその地域を回っているMRが「先ほどお問い合わせをいただき、ありがとうございます」とあいさつすることで先生方との信頼関係の構築につながったり、「先ほどのご質問に関してですが」とすぐに追加の情報を提供するなど、フォローしやすい体制をとっています。

従来の半分の時間で目的の情報にたどり着ける

柿木

そして、情報提供に関する私たちのもう1つの強みが「チャットボット」です。

これは当社の医療関係者向け総合情報サイト『sawai medical site』内に設置された、AI(人工知能)搭載のチャットボットのことです。チャットボットとはチャットとロボットを組み合わせた言葉で、小窓に質問を打ち込むと、自動で答えが表示される仕組みになっています。導入したのは2018年2月で、AIを搭載したチャットボットは製薬業界では初めての試みでした。

このチャットボットを使えば、医療関係者の皆さまがご自身で調べるよりも、スピーディーに必要な情報を得られます。例えば「○○(薬剤名)の安定性は?」「□□は一包化できる?」などと質問を入力すると、すぐに目的の資料が表示されます。薬剤名とロット番号を入力することで、使用期限もすぐに調べられるのです。

チャットボットを導入したきっかけは、薬剤師の先生から「医薬品の情報をメーカーのWebサイトで探しても、なかなか欲しい情報にたどり着けない」という声を耳にしたことでした。そこで、『sawai medical site』をリニューアルするタイミングで、他業界で導入され始めていたチャットボットを導入することにしました。

ただ当社には医薬品が700品目以上もあり、扱う情報はトータルで6万件を超えます。ですので全品目のデータベースを紐づけたうえで、AIが質問に使われた語句を理解し、正しい答えを提供するという一連のシステムを開発するのは大変でした。苦労の甲斐あって、今では回答率が90%を超えていて、多くの質問に対して正しく回答できるようになっています。

チャットボットの一番のメリットは、やはり必要な情報に短時間でたどり着けることです。従来のWeb検索に比べて、チャットボットなら約半分の時間で情報にたどり着けます。1つの品目でも効果は大きいのですが、これが複数の品目ともなれば、短縮される時間は大きく積み重なっていきます。

このように、調べるためにかかる時間を短縮することで、医療関係者の皆さまは、より多くの時間を患者さんの治療のための対話や服薬指導などに充てられます。だからこれも結局は、患者さんのためにというところにつながるのです。

そこにあたりまえにあるもの=“医療のインフラ”に

柿木

こうした情報提供活動の根底にあるのは、ただ医薬品を販売するだけではなく、医療そのものに貢献できる企業でありたいという想いです。”モノ”だけを扱っているのではなく、“人”にフォーカスすべき、という考えです。今後ジェネリック医薬品が今以上にあたりまえのものになっていくことを考えれば、MRが担当する医師・薬剤師の先生をはじめ、患者さん一人ひとりに至るまで、それぞれに応じた的確な情報を提供するといった方法も必要になってくるでしょう。

そんなふうに、“医療のインフラ”ではないですが、医療を下支えできるような存在でありたいなと思います。

河村

下支えといったところは、私もまったく同じ思いです。健康や病気については、生活をしていくうえで、切っても切り離せないものです。実際に私たちも風邪をひいたり、病気になることが当然ありますが、そのときに改めて、患者さんやそのご家族の気持ちになります。相手の立場になることで改めて考え、求められているものなど、気づくことが多いです。患者さんや医療関係者の皆さまにとって、まるで空気のようにあたりまえに寄り添える存在になれたらいいなと思います。いい意味で患者さんとの垣根を飛び越えた存在になれるように取り組んでいきたいと思います。

柿木

医療の現場にあたりまえにあるべきだからこそ、時折、医療関係者の皆さまから「日頃からありがとう」というような言葉をいただけたときに、やっていて本当によかったなと思います。

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