サワイのDNA - 社員インタビュー 工場での品質管理
なぜ、“サワイスペック”の品質管理を行うのか?

三田工場 製造部栫 直孝

三田工場 品質管理部井上 莉沙

そもそも医薬品製造における、品質管理の意味とは?

井上

一般的に、医薬品の製造工程における品質管理は、「最後の砦」と言えるかもしれません。…なぜか?

それは、医薬品が工場から出荷された後、患者さんが実際に使う段階で一つ一つ品質をチェックすることなどできないからです。信用の問題、と言い換えてもいいでしょう。

工場での生産というものは、ただ単にお薬の原材料を機械に投入すれば、すべて同じものができるというわけではありません。もちろん、国によって定められた規格の範囲内のことではありますが。

同様に、たとえ一つのメーカーから仕入れた同じ原材料であっても、粒の大きさや不純物の割合はその時々で微妙に変わります。機械のコンディションも、気温や湿度などの諸条件により影響を受けます。ですので、患者さんに安定した品質のお薬を届けるために、そうしたさまざまな調整をし、管理していく必要があるのです。

沢井製薬の品質管理 “サワイスペック”

井上

私たち沢井製薬のことを申し上げれば、より良い品質のジェネリック医薬品を世に送り出すために、独自の規格を設けています。この当社独自の社内規格のことを、私たちは“サワイスペック”と言っています。サワイスペックでは、国の規格よりもさらに厳しく設定しているものもあります。

こうした厳しい規格を満たした製品のみが、サワイジェネリックとして患者さんのもとに届きます。ジェネリック医薬品は安価なだけに低品質なのでは?という声を耳にすることもありますが、私たちの工場ではこうして一切妥協することなく、どこにも負けない品質を目指してジェネリック医薬品を生産しています。

前述のとおり、製造機械の状態は、同じ基準で製造し続けていると、たとえ規格範囲内であっても上の数値に寄ったり下の数値に寄ったりすることがあります。それをふまえ、例えば原材料を錠剤の形にする際に加える圧力を調整することで、錠剤の厚みを0.01mm単位で調整して製造するというような、規格内での微調整を常に行い続けています。

原薬の品質はあらゆる角度から徹底検査

井上

実際に私たちがどんな工程でどのように品質管理をしているのか、簡単にご紹介しましょう。

まず原材料メーカーから原薬や資材が到着したら、私たちのような品質管理部門の担当者が検査を行います。特に原薬は品質を大きく左右しますので、厳しいチェック体制を敷いています。

例えば、原薬の粒の大きさに関しては、国の規格では特に定められていませんが、そこにも私たちは自主規格を設けています。ときにはメーカーに粒の大きさが揃った原薬を、サワイジェネリック用に用意していただくこともあるのです。また原薬の結晶の形についても、サワイジェネリックでは自主規格を設定しています。

原薬に関してさらにさかのぼれば、本社の品質保証部門が中心となり、原薬メーカーの監査を行っています。そこで、品質管理体制がサワイジェネリックの基準に見合っているかを確認し、ときには改善の提案もさせていただきます。こうして原薬メーカーとも密接に連携することで、原薬の安定的な調達を実現しているのです。

原薬などの原材料が検査を通過した後は、混ぜ合わせ、粒の状態にし、粒の大きさを整え、専用機械で上下から押し固めて錠剤の形にします。そして錠剤をコーティングして印字するなどした後、一つ一つの錠剤をカメラで検査し、最後に包装をして製品となります。こうした各工程でも、私たち製造部の担当者が、徹底した製造管理を行っています。

井上

皆さまにイメージしていただきやすいのは、お薬の溶け方を調べる「溶出試験」でしょうか。人間の体内に見立てた37℃の液体に錠剤を入れ、一定時間内に有効成分がどれだけ溶け出すかを測定しています。

また、印字までの工程を終えた錠剤の機械検査では3Dカメラを使い、不適格なものがないかを立体的にチェックします。できあがった錠剤やパッケージの色味に関しても、機械で測った数値と人の目によるチェックの両方を行います。

花粉症の症状が軽くなるレベルのクリーンさ

井上

こうした品質検査と並行して取り組んでいるのが、工場内のクリーンな環境づくりです。工場の空調には、微細な塵や埃、菌をブロックする特殊なフィルターを設置。あわせて工場内の空気に微細な異物がどれだけ含まれているのかも測定しています。こうした取り組みにより、工場内の空気は非常にクリーンな状態に保たれており、場所によっては、一般的な手術室と同等もしくはそれ以上のところもあります。

実際、工場のなかにいると、花粉症の症状が軽くなる気がします。花粉症であることを忘れるぐらいです(笑)。

私たち従業員によって異物が工場に入り込まないようにする取り組みにも、注力しています。風邪をひいた状態で作業するわけにはいきませんので、まずは自身の健康チェックに始まり、服にほつれた箇所がないかも確認する。そして全身をすっぽり覆う宇宙服のような作業衣に着替え、入り口のエアシャワーで埃を除去してから初めて製造エリアに入ります。

また、さまざまな種類の医薬品を同時に製造するので、他の医薬品の成分が混入しないように、一つの部屋に機械を一つしか置かない“1ルーム1マシン”を原則としています。あわせて、製造ルームの気圧差の管理もして、機械を独立した状態に保っています。

一般的に工場というと、機械がビッシリ並んで粉塵が飛び散るなか、油まみれの工員が作業するといったイメージがあるかもしれませんが、私たちの工場はそんなイメージとは対極にあります。

徹底した品質管理を行う、本当の理由

井上

なぜ、ここまで品質にこだわって生産を行うのか。一つは、冒頭で述べたように信用の問題であり、また、きちんと医薬品が効果を発揮するためでもあります。

しかし、より重要なのは、少しでもサワイジェネリックを使う患者さんのためになりたいからです。妥協せずに品質を高めることが、色々な形で患者さんのプラスになると考えているからです。

例えば、お薬の色についてあげれば、もしそれが規格どおりの白色であっても、いつもより少しくすんで見えたら、患者さんは飲むときに不安を覚えるかもしれません。お薬に傷があったり、印字がかすれていたり、パッケージにへこみがあったりしても同じです。だからこそ、そうした製品を世に出してしまわないように、厳しい基準で検査する。「新薬と同等に効けばいい」を超えて、その根底には、患者さんにより安心してジェネリック医薬品を使ってもらいたいという想いがあります。

原材料の粒の大きさに関しても、もし大きいものと小さいものが混じっていたら、体内で溶ける時間がバラついて効き方に影響が出てしまうかもしれません。だからこそ、厳しい規格を設けて粒の大きさをできるだけ揃えなければならないのです。

患者さんのためにという前提に立てば、ジェネリック医薬品を「安定供給」することも非常に重要になります。どんなにお薬自体の品質が高くても、患者さんが必要なときに安定してお薬を届けられなければ、患者さんのプラスどころかマイナスになってしまうからです。

ですので、できる限り製品の品薄や欠品が生じないよう、私たちはさまざまな策を講じています。例えば、同じ原薬であっても複数メーカーから調達するようにしたり、先々のさまざまな要因を見越して余裕をもった量を生産するなどです。私たちにとっては、安定供給するということ自体が、重要な“品質”の一つなのです。

少しでも患者さんのプラスになればという目線で、品質について徹底的にこだわり抜き、そのやり方自体も日々改善し続ける。それが私たちの「なによりも患者さんのために」であり、誇れる「フィロソフィ」だと思います。

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